バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と糖尿病って関係あるのかな?

あぶり餅 調剤薬局業務
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血糖値の異常から発見されたバセドウ病

患者さんから「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と糖尿病って関係あるのかな?」と聞かれました。

詳しく話を聞くと、もともと高かった血糖値が800mg/dl位になり、食べても食べても痩せていき体調を崩した事がきっかけで入院してバセドウ病が発覚したとの事でした。

血糖値は少し高い程度であればほとんど症状は現れませんが、今回の様にあまりにも高くなると吐き気や嘔吐、昏睡など危険な状態に陥ります。

現在は下記の内服薬にて安定していたが、若干検査値に異常があったとの事でした。

患者さんの検査値(異常値)
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン)5.5 H(基準値0.5~5.0)
  • FT4(遊離サイロキシン) 0.8 L(基準値0.9~1.7)
服用薬(一部)
  • グリミクロン錠40mg スルフォニル尿素系
  • イニシンク配合錠 選択的DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬配合剤
  • メルカゾール錠5mg 抗甲状腺薬
  • プレドニン錠5mg 亜急性甲状腺炎、甲状腺中毒症、甲状腺疾患に伴う悪性眼球突出症等

今回の検査値から若干メルカゾールが効きすぎている可能性があります。

医師からも「次回からメルカゾールを、隔日1錠で半年程度様子を見てみようか」と言われているそうです。

※メルカゾールを隔日1錠にて、半年以上甲状腺機能が正常に保たれていれば中止を検討可能(日本甲状腺学会のバセドウ病治療ガイドライン

甲状腺疾患(亢進症や低下症)と糖尿病の二つは病態(体重減少・倦怠感・浮腫・手指の振戦等)が似ているので、合併症としてどちらかの存在を見落とす可能性があります。

両者は同時に発症したり、バセドウ病による二次性の糖尿病が発症する場合、そして糖尿病の経過観察中に甲状腺疾患が発症(検査値の異常やレントゲンによる心陰影拡大や甲状腺腫大で発見された等)する事もあります。

糖尿病甲状腺疾患は関連が多い

バセドウ病と糖代謝異常の関係

よって今回の「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と糖尿病って関係あるのかな?」の質問には、「どちらの病気が先なのかはわかりませんが、二つの病態は関係している可能性があります」とお伝えしました。

バセドウ病で血糖値が高くなる機序は以下の様に考えられています。

バセドウ病は甲状腺機能が亢進する病気です、よって甲状腺ホルモンが分泌されて新陳代謝が過剰になると、肝臓での糖新生亢進して血糖値は増加します。

  1. 甲状腺ホルモンによる胃蠕動(いぜんどう)亢進および小腸からのブドウ糖吸収促進
  2. インスリン分泌の感受性亢進
  3. 肝臓や筋肉,脂肪細胞におけるインスリン感受性の低下
  4. 肝臓や筋肉,脂肪細胞における糖輸送担体の発現増加
  5. 脂質代謝の変化による糖代謝の悪化

引用:CDEJ News Letter 第27 号 2010 年7 月 糖尿病と甲状腺疾患

バセドウ病は、別名美人病とも呼ばれています。

いさやまもとこ氏の著書「あたい、美人病になりました! バセドウ病4年生のぼやきまくり日記」では、バセドウ病だけでなく、正反対の症状の橋本病やうつ病との闘病生活が克明に記されています。

別名「美人病」と呼ばれるのは、新陳代謝がよくなるので痩せるしお肌ツヤツヤ、まぶたが後退して目が大きくなるからです。が、侮るなかれ、甲状腺ホルモンのせいで体が機能全開! 心臓がバクバクして眠れず、1日9食食べてもお腹が減り、体の震えで漫画家失格。さらには追い打ちで、目が飛びだしてきて恐怖の治療を受けることに。

引用:講談社BOOK倶楽部

参考:日本甲状腺学会サイト

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