先日、医療介護業界事業者向けの人材紹介事業スタートアップセミナーに行ってきました。
医療介護業界事業者向けとの事でしたが、薬剤師の人材紹介業も含まれているようだった為、調剤薬局の経営者向けセミナーとして案内がありました。
薬剤師向けの業界誌を見ていると大体の雑誌には、こういった下記の様な薬剤師向けの転職業者の求人広告が掲載されています。(リンク先はファルマスタッフさん)
人材紹介業は儲かるのか?
確かに商品としての在庫を抱える事も無く、薬剤師の求人を1件成約させると年収の30%前後の手数料が売り上げとして上がるため実入りの良い商売と思われます。
しかし一方で参入障壁は低く誰でも簡単に始める事ができるため、それほど上手くいく話ではないようです。
大手の人材紹介会社では、経費のうち広告費がかなりの割合を占めていると聞いたことがあります。そして今回のセミナーを開催しているのも実は人材紹介業を自前でやっている会社です。
それほど旨みのある商売であればノウハウを簡単には公開しないはずですが、果たしてどういった内容のセミナーだったのでしょうか?
新規事業としてやってみたものの上手く行くのかどうかわからないので、取り合えず受講させて頂きました。
セミナー講義の内容は?
まず講義がスタートして担当の講師の方から冊子が配られました。そして現状としては地方での人材確保の難しさ、薬剤師と薬局のマッチングの難しさについて触れられていました。
医療業界では人材紹介会社を利用して転職する人の割合が50%以上と、かなり高い割合(薬剤師に限ると70%以上)を占めていることから、業界自体の将来性の高さがうかがえました。
しかし少子高齢化によりサービスを受ける側の増加とサービス提供者側の減少により、今後は労働力の確保がより一層厳しくなっていく事が説明されました。
転職を希望する薬剤師を確保して、希望する転職先に上手くマッチングさせる事の難しさは相当なものでしょう。
そして業界の拡大の一方、業者間の淘汰が始まり人材紹介業者が二極化をしていくという予想がされました。「大手業者」と、「地方エリア、職種を絞った業者」の二極化です。
今回のセミナーではこの「地方エリア、職種を絞った業者」としての新規事業の手助けをします、といったスタンスで開催されていました。
その後は運営するポイントの説明、この会社が人材紹介業の開業にむけて手助けできることを説明してセミナーは終了しました。
人材紹介事業の開業自体の手順は簡単です、厚生労働省の管轄部署で有料職業紹介事業についてのセミナーを受講すれば誰でも簡単に出来ます。
実際に難しいとされるのは薬剤師を集めるのに非常にお金がかかります。広告費はもちろん、お祝い金をだしたりと集客に一番苦労するかと思われます。
知り合いの会社では、CMで有名なind○○dに高いお金を払って求人を出したけど、一件の問い合わせ(面接でなく問い合わせ)もなかったと嘆いていました。
そしてキャリアアドバイザーと呼ばれる、転職エージェントの育成にも時間とお金がかかります。本来であれば、ある程度経験のある営業マンを雇う必要があるでしょうが、お金が無ければ兼任して行うほうがよさそうです。
あとは薬局と薬剤師の情報をまとめる管理システムの構築にもある程度お金がかかります。(自社で開発するか、レンタルで対応するかによっても異なります)
こういった一連の流れをサービスとして提供するのが今回のセミナーで説明されていました。
セミナーを受講して思う事
調剤薬局をやりながら人材紹介業を兼務している経営者も多いのは、恐らくは「上手く行けば自社に来る薬剤師を手数料なしで集める事ができればラッキー!」と思って経営されている方も多いのだろうと思いました。
そして自社に当てはまらない人材であれば、他の薬局に紹介して手数料ももらえる「良いサイドビジネス」になると考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?しかし新規事業として人材紹介を開始したとしても戦略を誤って未経験で開始した事業所は1年以内に事業撤退しているケースが多いそうです。
コメント