この薬を服用してレーザー脱毛の施術しても大丈夫ですか?

薬の勉強

患者様に「この薬を服用してレーザー脱毛しても大丈夫ですか?」と投薬中に聞かれました。うかつな事を答えられないので「すぐにお調べしてから、ご連絡差し上げます」と回答しました。

今後同じような質問があった時に役立つと思いますので詳しく調べる事します。

まず私はレーザー脱毛をしたことが無かったので、そこから調べました。

どうやら医療機関で行われるレーザー脱毛と、エステなどで行われる出力の弱い光脱毛があるみたいです。

レーザーとは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(放射線の誘導放出による光増幅)の頭文字の略だそうです。

光線過敏症に関係する自然光は、地表に到達する紫外線UVA320~380(nm)と可視光線380~810(nm)です。脱毛などで使用するレーザーは可視光線や赤外線など様々で波長も長く500~1200(nm)にもなります。

光線過敏症には2つの発症機序があります。

 1)光毒性phototoxicity : 皮膚に存在する物質が、特定波長〔その物質の吸収波長〕〔殆んどがUVA( >320nm)〕の光線を吸収して励起され細胞成分へ無制限なエネルギーの移動が起こって障害を生ずる。物質により障害部位が異なる〔ソラレンはDNA、アントラセンは細胞小器官、プロトポルフィリンは細胞膜〕。十分の量の光感作物質と、十分の量の特定波長の光線があれば、すべての人に生じ得、したがって1回の照射で起こり、潜伏期もない。この光感作物質〔光毒性物質〕として、ソラレン・テトラサイクリン・コールタール・アントラセン・スルフォンアミド・サイアザイド剤、色素類〔アクリジン・ピリジン〕などがある。臨床的に紅斑と浮腫が主症状で、次いで落屑・色素沈着を来す。組織学的に表皮壊死・変性、真皮多核好中球浸潤。

2)光アレルギー性photoallergy : 皮膚に存在する物質〔光感作物質〕が、特定波長の光線〔多くはUVA、一部可視光線〕を吸収して化学変化し、新しく出来た物質

〔光抗原(photoallergen)〕がハプテンとなって生体蛋白(carrier protein)と結合して完全抗原となって生体を感作する。その後再び原物質が皮膚に到達し、ここに光線が照射されると光抗原と化し、そこにアレルギー反応を生ずる。このときは、感作物質・光線ともに、ごく少量で起こる。この光感作物質としてスルフォンアミド・サイアザイド・クロルプロマジン・経口糖尿病剤・グリセオフルビン・抗ビ剤などがある。

医学論文の翻訳より引用

薬剤摂取後、早い場合は数時間、通常は2~3日から2週間、まれに半年以上内服してから日光に暴露されると生じます。診断は被疑薬剤を少量内服し、紫外線を一部照射して光線過敏症を誘発する事で判断します。

そして何故、レーザー脱毛と内服薬が関係するのかですが、「薬剤性光線過敏症の原因となる薬を内服している患者様はレーザー脱毛は施術できません」とクリニックやエステサロンで言われるそうです。

では施術施設で聞けば良いのではないかと思われますが、施設のサイト等を見ると禁止薬剤の一覧として、フェノチアジン系向精神薬、ニューキノロン系抗菌薬、消炎鎮痛剤、チアジド系利尿薬、SU系経口糖尿病薬、筋弛緩薬、抗不整脈剤、高脂血症治療薬、降圧剤などが多数ずらりと記載があり、医師か薬剤師にご相談下さいと書いてある場合が多いように思います。

医療機関のレーザー脱毛であれば専門医がいるので安心して聞けますが、エステサロンだと処方医か調剤薬局に聞きに来る事になります。

薬局では「光線過敏症を起こす可能性のある薬を服用中はレーザー脱毛は控えた方が良いでしょう」と回答するのがベストですが、継続して服用する薬の場合は、「服用しながら脱毛をする事が可能なのか?」の不可を判断する必要が出てきます。

添付文書の副作用に光線過敏症の文字があればわかりやすいですが、記載がなかったとしても判断する材料になるのが薬の構造式です。

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なぜ薬剤性光線過敏症が引き起こされるのか?

なぜ薬剤性光線過敏症が引き起こされるかですが、光(紫外線など)により薬剤が生体内のタンパク質などに結合して抗原抗体反応が起こることが原因の一つとして考えられているそうです。

紫外線は薬剤中の非共有電子対(ロンペア‥)の電子を飛ばすことで反応性を高めます。

通常はすぐに元に戻りタンパク質と結合する事はありません。

しかしロンペアの近くに共有構造(単結合と二重結合の繰り返し)が存在すれば反応性の高い状態が暫く続きます。

するとタンパク質と結合して異質な物質と認識された薬剤は免疫反応の対象となるのです。

よって(ロンペア‥)と共有構造があれば反応性高いので光線過敏症の可能性がありと判断できるのではないでしょうか?

それでは有名な消炎鎮痛剤のモーラス(ケトプロフェン)や、ボルタレン(ジクロフェナク)ではなく、あえてニューキノロン系抗菌薬のシプロキサン(シプロフロキサシン)の構造を見てみましょう。

ロンペア(‥)を持つ酸素(O)と共有構造が隣にあることで、電子が行き来することが出来ますね。非共有電子対は炭素(C)以外の酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)などの原子中に存在するので薬剤師であれば構造式を見れば一目でわかると思います。

添付文書のPDFを開いて「Ctrl+F」で検索しても、もちろんOKです!



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