奨学金を借りて6年制薬学部を卒業して薬剤師になる事を考えてみる

お金 薬剤師免許
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定員削減進み適正化加速

全国の薬科大学・薬学部の2019年度入学者について、約4割の大学で定員を割り込んでいることが、本紙の調査で明らかになった。

薬事日報より引用

2013年度をピークにして薬科大学の約4割が定員割れしているそうですが、奨学金を借りて6年制薬学部を卒業して薬剤師になる事について考えてみました。

入学後に薬学への興味が持てず、留年をきっかけに中退する学生も少なからずいます。

自分の周りにも入学後1~2年して留年した事をきっかけに「自分はやはり医学部に行きたかった」等と再受験をしたり、退学していく方々がいました。

私立薬学部は医学部や歯学部を除けば、入学金や学費もかなり高額な部類に入るかと思います。

現在高校生で薬学部へ入学を考えている学生さんに、薬学部入学後「失敗した‥」と後悔してもらいたくないので、自分の拙い経験からお話できる事を記載してみました。

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薬学部の受験科目について

よく薬学部に進学するのであれば、化学が好きな方に向いていると一般的に言われています。

大学によっては化学のみで受験できる所もありますが、受験科目でなくとも薬剤師国家試験では物理・化学・生物の3科目についても必須問題、薬学理論問題、薬学実践問題と出題されます。

よって入学後に苦労する事のない様に、その基礎となる高校レベルの内容は苦手科目を作らず最低限抑えておく必要があるかと思います。

大学の授業や国家試験の勉強は理系科目が中心なので、さらに数学と物理も得意であれば後は暗記科目が中心なのでそれほど苦労する事はないかと思います。

大学での授業は講義と実習がありますが講義は高校の延長です、また薬学実習は数人のグループに分かれて行うことが多いのでチームワークを乱すことなく協力して普通にやっていればまず問題ないかと思います。

私立大学薬学部6年間の学費を払っていけるのか?

薬学部のある大学(75校/2018年)は沢山ありますが、製薬メーカーの研究職を目指しているのでなければ、学費は高くとも私立大学でも良質な大学はあります。

私立大学の薬学部は6年間で1200万円前後の学費がかかりますが、「高すぎて無理」と直ぐに諦めなくても大丈夫です。

両親に頼る事ができなくとも、日本学生支援機構の奨学金を借りて進学する事ができます。

1種と2種を合わせて借りれば月額20万円程になり、毎年の学費を払っていく事が可能となります。

卒業後に節約して一生懸命に働けば、約3年~5年で返済する事ができます。

奨学金を借りる場合に保証を受ける必要がありますが、保証には「機関保証」「人的保証」の2種類があります。

「機関保証」は保証機関である公益財団法人日本国際教育支援協会が連帯保証する制度ですが一定の保証料の支払いが必要となります。

よって可能ならば親族の中から保証人になってくれる人を探して「人的保証」をお願いしてみましょう。

現在は奨学金の金利(固定と変動金利(見直し方式)があります)も、かなり低い状態が続いています。(2017年3月貸与終了者では、固定金利0.33%変動金利0.01%

さらに万が一金利が上昇しても日本学生支援機構の奨学金の利率の上限は3%と規定されています。

また日本学生支援機構の奨学金は、薬学部在学中の6年間は利息が発生しないので、銀行などに借りる教育ローンよりもずっとお得だといえます。

この制度を悪用して、卒業後に放送大学に入学して返済の免除の猶予を受ける方法が世間に出回っていますが、自分が借りたお金はきっちりと返済して迷惑をかけないようにしましょう。

その他にも、薬剤師の不足している地方の調剤薬局では卒後に就職する約束で無利子の奨学金を貸し出ししてくれるなど、本気で薬剤師になりたいのであれば、薬学部に進学しさえすればお金は何とかなるのが実情です。

ただし留年してしまうと奨学金が停止されるので、その点だけは十分に気をつけて下さい。

あと万が一借りている本人が死亡した場合は、返還未済額が免除される制度がありますので返済免除の届出を提出する必要があります。

「人的保障」をお願いした親族に迷惑をかけないようにしっかりと伝えておきましょう。

死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除

次の場合、願出により返還未済額の全部又は一部の返還を免除することができる制度があります 。

  • 本人が死亡し返還ができなくなったとき。
  • 精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったとき。

日本学生支援機構にご相談ください。

詳細をお伺いし、状況に応じて下記の願出書類を送付いたします。

審査の後、結果を通知いたします。

JASSOサイトより引用

複数の大学に合格した場合どこを選ぶべきか?

私立大学の薬学部の偏差値は30~60台まで幅広く存在しています、おそらく併願して受験する方が大半だと思うのですが複数合格した場合はどの大学の薬学部を選ぶべきでしょうか?

「自宅に近い偏差値が低い大学」と「下宿する必要がある偏差値の高い大学」など迷う事も多いと思います。

どの様な大学の薬学部であったとしても、入学後にしっかり勉強すれば薬剤師になる事ができます。

しかし選択肢の中で、できる限り偏差値の高い大学のほうが良いのかなと思います。

人はどうしても周りの環境に流されやすいので、自分よりも勉強のできる人がまわりに沢山いたほうが、焦りから刺激を受けてモチベーションが高まります。

そして歴史のある大学であれば、様々な業界に先輩がいるので就職でも強みになります。

しかし、特待生で学費免除などで大学に安く入学できるのであれば、偏差値は関係なく選んでも良いかとも思います。(学費免除には毎年成績が上位である必要があったりと大学によって条件があるので十分注意してください)

もし仮に調剤薬局で薬剤師として働くのであれば、大学の偏差値は関係なく現場でのコミュニケーションさえしっかりできれば問題ありません。

しかし「低い偏差値の大学で国家試験に合格できるのかな?」と思われるかもしれません。

毎年国家試験の合格率がランキングで掲載されますが、これは必ずしも真の合格率ではない事に注意が必要です。

薬学部では勉強のできない学生さんは容赦なく留年させられます。

実際の入学者と卒業者には乖離があります、無事に6年生になったとしても卒業試験の成績で受かりそうにない学生は国家試験を受験させてもらえません。

合格率を限りなく100%に近づけたい大学ではその傾向が数字に現れています。

新設の私立大学で100%に近い大学はそれだけ進級が厳しい事が想像できます。

一方合格率が低い大学であっても、進級は緩くできる限り学生に国家試験を受けさせてくれる方針であるがゆえの低合格率といった場合も考えられます。

このあたりの詳細は実際に大学に進級している先輩やオープンキャンパスで現役の薬学生に聞いてみるのが確実です。

留年すれば毎年200万円が借金として増えていくことを考えれば、とりあえず卒業させてくれる大学の方が、学生の懐には優しいといえるかもしれません。

卒業後は国試浪人として予備校に通うか、働きながら受験を続けることもできます。(調剤薬局によっては国家試験に合格後入社する事を約束として、半年は給与を薬剤師として働くのと同額支給し半年は予備校に通う事を許してくれる薬局もありました)

このように金銭面と入学時の学力面を理由に、薬学部への進学を諦める事はありません。

しかし薬学部へ進学後は、他の学部のようにキャンパスライフをエンジョイするよりは勉強に集中して留年する事なくストレートで卒業を目指しましょう。

大学の授業が終われば図書館で閉館までその日の復習をして時間があれば早いうちから国家試験に対応した問題をやっておけば、CBTやOSCEも問題なくクリアできるでしょう。

研究室に入ってからもあわてることなく卒論に打ち込むことも可能です。

社会人で薬学部へ入学を考えている

医療系でない普通の大学を経て社会人になってみたものの、何かをきっかけに薬剤師になりたいと思った人もいるかと思います。

そんな人に向けて進学へのきっかけとなれば嬉しいです。

私は動機に関しては何でもいいと思っています。

様々な目的や動機で薬剤師という職業に就く人がいた方が、この閉鎖的な業界自体も活性化するかと思います。

社会人として、長時間労働や理不尽な上司の命令、パワハラ、セクハラ、モラハラなど過酷な労働を経験してきているのであればストレス耐性はきっと相当高いはずです。

それに比べれば薬学部の勉強は余裕だと思います。

高校生で華やかなキャンパスライフに理想を描いて入学する人にとっては少し大変でも、社会人として激務をこなしてきた人からすればおそらく大丈夫です。

さらに自分で学費を支払って勉強するのですからその取り組み方もきっと違う事かと思います。

再受験で入学してやっていけるか?

「30歳から大学に入学してもやっていけるかな?」なんて考えている方もいるかもしれませんが、薬学部に限らず医療系の学部には30代はもちろん40代以上の学生さんも珍しくありません。

再受験で20代であれば、多浪生もいる事を考えればまったく気にする事はないと思います。私の大学にも再受験で入学した方や編入学してきた方を含めて、10名以上いらっしゃったと思います。

社会人経験者はコミュニケーション能力が高い方が多く、現役生ともすぐになじんでサークル活動を楽しんだり第二のキャンパスライフをエンジョイされている方も多かったように思います。

目的意識のはっきりした社会人編入生は勉強にも非常に熱心な方が多く、国家試験の合格率を上げたり周りの現役生の刺激にもなるので、大学としても良い影響を期待して編入制度を実施している大学が多数存在します。

(※進級できない学生の補充に優秀な社会人編入生を入れることで入学者と卒業者の乖離を減らす目的もあります)

大学受験が初めての方は1年生から普通に受験して入学する必要がありますが、多くは化学、数学、英語の3科目のみで受験する事ができます。

しかし大学によっては社会人入学に対応した受験科目(英語や論文中心)で受験可能な大学もあるので検討する価値はあります。

一度でも大学を卒業している方は迷わず編入学試験での再受験をおすすめします。

大学によって2年次編入から4年次編入まであります。

ご自身の出身学部によって入学年度が異なるかと思いますが1年でも短いほうが学費も生活費も助かります。

上手くいけば3年~4年で6年制の薬学部卒業資格を手に入れることが可能です。(※4年次編入は薬学部間のみ)

※薬学部間での編入は4年制薬学部の方が薬剤師免許を取得するために6年制薬学部へ編入したり、進級の厳しい大学(進級要件を満たせなかった学生さんなど)から緩い大学へ編入したりと様々な理由で4年次編入をされます。

卒業後の就職について

今後はわかりませんが、今のところ国家試験を合格した後も就職に困る事はないかと思われます。

多くの私立大学では、企業側から大学に来て5年~6年次に就職セミナーが行われます。

そこである程度の企業に目星をつけておくのが良いかと思います。

会社説明会で企業を訪ねると、交通費はもちろん、図書券やクオカードをくれたり、お弁当や昼食付のセミナーなど様々な薬学生の囲い込みがあります。

しかしこういったところは、通常の薬剤師の平均的な初任給のところが多いように思います。

学費を早期に回収したい人は人材紹介会社に登録して、新卒でも対応可能な高年収な職場を紹介してもらいましょう。

新卒でも勤務地を選ばなければ、僻地でなくても高年収の案件は存在しますので自分がどの程度の条件ならやっていけるのかを検索して調べてみましょう。

しかしながら新卒一括採用の慣例の日本において、新卒採用時の就職トラブルは長い人生を考えたうえで大きな影響を及ぼす可能性があります。

安易に高年収というだけで職場選びをすることなく、ご自身が薬剤師としてどの様に生きていくのか、キャリアデザインをしっかりと考えた上で就職活動をする必要があります。

薬学部を卒業したある薬剤師の話

薬学部卒業後ある男の就職活動は、国家試験前に人材紹介業者に登録した事から始まりました。

大学にも様々な企業からの就職案内や、合同就職セミナーなどがありましたが、生活費のためのアルバイトや卒論、試験勉強をしているとあっという間に国家試験前になってしまいました。

とりあえず1社だけでも決めておこうと考えて、インターネットで最初に出てきた人材紹介会社に登録しました。

新卒から人材紹介会社に登録

奨学金の返済もあるので、条件欄に「年収600万円以上」をチェックして探してもらったのですが残念ながら担当者に「希望されている地域的に少し難しいですね」と断られる事から始まりました。

結局、インターネットで調剤薬局のホームページの求人情報を一軒一軒調べる事で、初めての勤務先を見つけ出しました。

その調剤薬局のホームページには「新卒から年収600万以上」との記載がありました。

どんな薬局に勤めてたとしても、忙しい店舗もあるだろうし、性格の合わない人もいるだろうから、給料だけは高いほうが良いだろうという安易な就職活動でした。

よく考えると、人材紹介会社には1社しか登録していなかったので何社か登録すれば希望の条件の案件を紹介してもらえる紹介業者もあったかもしれません。

こうしてネットで調べた調剤薬局のホームページから直接申し込みをして、即社長面接で即採用。(ブラックな職場であれば慢性的に薬剤師不足のため、よほど変わった人でない限りは即採用されることが多いと思います)

勤務する条件面で多少交渉がありましたが、ほぼ条件どおりで希望する地域での採用が決定しました。

男は「きっと自分の経歴でこの条件だと、さぞかし忙しい店舗に配属されるだろう…」と考えて多少不安に思いながらも就職先が決まって安堵しました。

調剤薬局での初勤務開始

最初に配属された店舗は医療モール内の門前薬局です、内科・小児科・精神科の門前で処方箋枚数は1日200枚程度でした。

多いときは300枚近く行く日もありましたが薬剤師は常時正社員、パートを含めて4人前後で回していたので一人当たりの枚数としては余裕がありました。

しかし地方の中小チェーン店だったからなのか、新人研修的なものは一切なく出勤初日から実践で仕事を覚えていくスタイルです。

初日から一人の薬剤師としてカウントされているので、男は初日からどんどん服薬指導に出て、兎に角間違えないように心がけて投薬しました。

投薬時の患者様への声かけや服薬指導なども、先輩薬剤師の真似をして少しづつ覚えていった感じです。

患者さんに聞かれてわからない事は、その都度調べて対応していたので男はかなり迷惑な薬剤師だったと思われます。

ここでは、調剤薬局の基本的なスキルを学ぶことが出来たので男にとって大変勉強になりました。

そしてみんな優しい先輩で本当に良い職場でした。

ただ門前の医院が最終患者を何時になっても受け入れていたので、薬局の閉店がかなり遅く帰りが終電近くなる事もありました。

通勤ラッシュとさらに通勤時間が1時間半と帰宅時間も遅かったので、1年過ぎた頃に店舗移動を申請して自宅から30分程度の職場に変えてもらいました。

チェーン調剤薬局の良いところは勤務条件が職場と合わなかった時に、店舗異動を申請できるところだと思います。

異動理由は仕事内容や通勤時間もありますが、人間関係での申請もあるもしれません。

狭い薬局内で1日中顔を突き合わせるのですから、たまに会う友人としては問題がなかったとしても、仕事仲間としてはお互いが尊重しなければ難しい場合もあります。

特に忙しい店舗だとみんなの心に余裕がなくなってしまい、クレーム対応や投薬業務の押し付け合いなど、様々な人間感情が渦巻く店内は時に殺伐とする事も多々あります。

チェーン薬局内での店舗異動を経験

男が店舗異動した2店舗目は自宅からの距離が30分とずいぶん近くなりました、最初はそれだけで喜んでいたのですが徐々に店舗の問題点が見えてきました。

門前は整形外科、耳鼻科、眼科の医療ビルでした。処方箋枚数は200枚前後と変わりなかったのですが薬剤師の離職が頻繁にあったので、基本3人で少ないときは2人で1日を回すという店舗でした。

さらに職員同士の仲が悪く、陰でお互い非難する状態が続いていました。

そこに新任の薬剤師が来るのですが、当然定着する事はなく入職しては退職の繰り返しで、まったくメンバーが安定する事はありませんでした。

ここでは一人当たり1日100枚前後を投薬するので、ただひたすら間違えないように渡すだけの日々が続きました。

患者様に質問されて少しでも対応が滞ると、たちまち処方箋の入った籠が山積みになり「いつまで待たせるんだ!」とクレームが入ります。

いかに質問されないように滞りなく業務を進めるかが問われるだけの職場でした。

男はやりがいを感じることもなく疲弊して辞めていく同僚の背中を見送ってきました。

薬局内の険悪な雰囲気の中で何度もくじけそうになりましたが、この時期にマンションの購入を控えていた為、借り入れをする銀行に対して住宅ローンの申請していました。

事前審査は問題なかったのですが、銀行の担当者から「マンションが完成して住宅ローンの実行がされるまで絶対に仕事を辞めないで下さい」と言われていたのです。

店舗異動は既にやってしまいこれ以上近い店舗もなく、更に転職するには早すぎるので修行だと思いながら毎日過ごす事にしました。

修行だと思うと何とかなるもので、結局この店舗にはマンションが完成してローンが実行されるまでの3年程いる事になりました。

その間に辞めたり異動していった薬剤師は何人いたか思い出せません、1日来てこなくなった人もいました。

しかしマンションが完成して住宅ローンも実行され無事に引越しが終わり、この職場にいる理由もなくなったのでいよいよ転職を考えることにしました。

無事にマンション購入と引越しを終えた男は、早速転職活動を開始する事にしました。

ちょうど日経DIという薬局に配布される専門誌に書かれてあったファルマスタッフという業界最大手の日本調剤薬局グループの転職支援の人材紹介会社が目に留まりました。



ファルマスタッフに登録する

ファルマスタッフは、キャリアコンサルタントとの面談が義務付けられていました。

面談する事で人物像を把握して、理想に近い職場を紹介する事でミスマッチを防ごうという事かと思われます。

登録してすぐ仕事終わりに職場近くの喫茶店で、ファルマスタッフのキャリアコンサルタントの男性と待ち合わせをしました。

ここではキャリアシートのようなものに自身の経歴などを記載して、希望の年収や待遇などを口頭ですり合わせをして、いつから職場を移ることができるかを話し合いました。

男の条件は、現在の年収以上で通勤は30分以内、門前や処方箋枚数にこだわりなし、管理薬剤師でもOKだが可能であれば一般薬剤師を希望しました。

(※管理薬剤師になるとミスマッチの場合に次の管理薬剤師が見つかるまで退職を引き伸ばされる可能性が考えられる為)

あまり沢山の条件をつけると、転職先を探すのに時間がかかるかと考えてこの位にしました。

引継ぎの薬剤師さんが見つからない

転職時期は職場のルールで一般薬剤師は、3ヶ月前(管理薬剤師の退職届は半年前)に退職届けを提出する必要がありました。

よって転職時期は3ヵ月後としました。

実際は残っていた有給を使い切る為に勤務するのは実質2ヶ月ほどですので、この間に次の薬剤師さんを見つけて引継ぎの手続きをしなければいけません。

しかし案の定、引継ぎの薬剤師はなかなか見つかりませんでした。

たまに職場見学に来ても、天秤にかけているであろう薬局や病院に負けてしまいます。

結局退職時期になっても後任は決まらず他店からの応援の薬剤師に引継ぎを済ませました。

やはり離職率が高く、職場環境の良くない薬局の情報は紹介会社のエージェントさんにもわかっているようでミスマッチが起こると予想される職場にはなかなか薬剤師がやってきません。

やむなくチェーン薬局の他店舗からやってきた応援の代理薬剤師に引継ぎを済ませた男は、薬剤師としての今後の人生について考える事になりました。

今のように毎日ただ膨大な枚数の処方箋を処理するだけでは、薬剤師としての深い知識はあまり必要ありません。

知識もなく、さらに年老いて目が見え難くなり、すばやく動くことが出来なくなってくればきっとお荷物となる事が目に見えてわかります。

そしていつの日か、ペッパー君の様なAIロボットに代替される事も危惧されます。

やはり患者さんに相談された時にしっかりと答える事ができる、薬や医療についての知識をさらに深めたいといった気持ちがありました。

男は大きなチェーン薬局で人を取りまとめるエリアマネージャーや、幹部になりたいといった気持ちは微塵もありませんでした。

「どちらかといえば独立して現場で患者さんの相談にのれる薬局をやってみたいなぁ…」と、漠然とその時は考えていました。

よって独立を応援してくれる薬局がいいかもしれないと考えるようになりました。

そんなある日、知り合いの伝で個人で数店舗をやっている調剤薬局を紹介されました。

1店舗から始めて少しづつ店舗を広げている最中なので「きっと将来の独立にむけて勉強になるかもしれない」と考え入職する気持ちが固まりました。

男は入職後に経営者を間近に見ながら「本当に自分は独立して薬局を経営したいのかな?」と悩む事が多くなっています。

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