初めての病院(整形外科)と患者さんでサインバルタが「夕食後」処方されていたので、初回確認のために疑義照会をしました。
患者さんは新患だったこともあり、問診とお薬手帳の作成などをやっている間に疑義照会の電話をかける事にしました。
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60 ㎎を経口投与する。
投与は1日20㎎より開始し、1 週間以上の間隔を空けて1 日用量として20 ㎎ずつ増量する。
ロコアテープの貼付場所と、ロキソニン(毎食後)併用で服用するといった処方内容だったので、禁忌ではありませんがついでに確認する事にしました。
初めての処方で添付文書と異なる場合は念のため確認をしていますが、この形式上の疑義照会では大抵「そのままで」との回答が返ってきます。
しかし受話器から保留音が流れてしばらく医師の返答を待っている間(3分間位でしょうか)に、患者さんが「まだ?もう時間かかるみたいやから他でもらうわ!」と処方箋を持って帰ってしまいました。
案の定、患者さんが帰った後に医師から「以前から夕食後で服用してるみたいだからそのままでお願いします」との回答がありましたが、既に処方箋は手元になく別の薬局に行ってしまった旨をお伝えする結果となってしまいました。
個別指導等における主な指摘事項でも「医薬品医療機器等法による承認内容と異なる用法で処方されているもの」として「サインバルタカプセル20 ㎎の1日1回就寝前」が指摘された事もあるので疑義照会する必要が薬局としてはあります。
確かに不毛な疑義照会であるかもしれませんが、しなければしなかったで気持ちが悪いので初回だけは必ず確認するようにしています。
しかしこの様な事が続かにように今後は患者さんに待ち時間を感じさせない工夫と荒神さんのような手品に変わる話術でも身につけようと思いました。
サインバルタ(デュロキセチン)を朝食後に投与する理由は?
国内のうつ病・うつ状態承認時臨床試験、及び糖尿病性神経障害に伴う疼痛承認時臨床試験では、朝食後と規定しており、その他の用法における有効性及び安全性を検討していないことから「朝食後」と規定しました。
解説
国内臨床試験での「朝食後投与」は、米国での臨床試験を元に設定されました。米国の臨床試験では、もともと「1日1回」というプロトコールで実施されましたが、臨床試験のオペレーションにおいては、飲み忘れを避けて被験者の服薬コンプライアンスを維持するため、朝食後の投与が推奨されました。本邦の臨床試験時にはこれに倣い、朝食後投与というプロトコールが設定されました。食事の影響及び投与時間の影響(外国人データ)
健康成人女性12 例を対象に、デュロキセチン40 mg を朝空腹時※、朝食後、あるいは夜就寝時(空腹)※にクロスオーバー法にてそれぞれ単回経口投与し、食事の影響及び投与時間の影響を検討したときの薬物動態パラメータ及び統計解析結果を表Ⅶ-5 に示す。Cmax、AUC0-∞は朝食後投与と朝空腹時投与との間で有意差は認められなかった。朝食後投与のTmax は朝空腹時投与に比べ延長し、有意差が認められた。朝食後投与における血漿中濃度の消失速度定数(λz)は空腹時に比べ大きく、有意差が認められた。夜就寝時(空腹)投与のCmax、AUC0-∞は朝空腹時※投与に比べ低く、Tmax は延長し、それぞれ有意差が認められた [50]。
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