健康診断でコレステロールが高値だけど再検査行った方がいいかな?

役に立つ話
スポンサーリンク

「会社の健康診断で総コレステロールとLDLコレステロールが高かったみたいコレステロールの種類って何がちがうの?ほんで3か月後に再検査を受けるように書いていたんやけど、やっぱり紹介状発行してもらって再検査行った方がいいのかな?」

健康診断の結果を見せてもらったところ患者さんの検査値は、総コレステロールとLDLコレステロールが若干の高値でした。

「コレステロールは多すぎると動脈硬化等の原因になります、できれば病院には行った方がいいですよ。他にどんな病気が隠れているかわからないので精密検査してもらってください。」

 

 

「再検査は3か月後だから、できたらもう薬とか飲みたくないねん。その間にできるだけコレステロール減らしておきたいから色々と教えてくれる?」

スポンサーリンク

患者さんの検査値

  • 総コレステロール(140-219) ↑225
  • 中性脂肪(30-149) 78
  • HDLコレステロール(40-119) 69
  • LDLコレステロール(60-119) ↑142

小腸から吸収されるコレステロールは、食事、胆汁、小腸細胞の3つの起源に由来しています。そして血清の脂質はアポ蛋白と結合して、複合体であるリポ蛋白として存在しています。

  • CM(カイロミクロン)小腸由来
  • LDL-Cho 肝臓由来
  • HDL-Cho 別系統で合成される
  • VLDL-Cho 肝臓由来

一般的に一次予防では原則として生活習慣改善を行う事からも、まず患者さんには現在のライフスタイルの見直し(禁煙、食事内容や運動習慣)をお勧めしました。

  • 禁煙は動脈硬化予防に重要
  • 有酸素運動はコレステロール合成を抑制
  • 大食、甘いもの、就寝前の飲食は控える
  • 総エネルギー摂取量制限による適正体重維持
    総エネルギー摂取量(kcal/日)=標準体重(kg)×身体活動量
    (軽 25~30、普通 30~35、重 35~)

例)65kg×軽い作業 30とする=総エネルギー摂取量 1950(kcal/日)
ただしサルコペニアや低栄養状態の場合は、適切な栄養素の比率と摂取量を考慮する

その後、もし薬物治療(スタチンが第一選択薬)が必要となった場合は、リスク区分による管理目標値(LDL-C 20~30%の低下により冠動脈疾患が30%低下する事が示されている)がある旨をお伝えしました。

脂質異常症診断基準

脂質異常症診断基準(※① 空腹時採血)

LDL コレステロール
・140 mg/dL 以上 高LDL コレステロール血症
・120~139 mg/dL 境界域高LDL コレステロール血症 ※②
HDL コレステロール
・40 mg/dL 未満低 HDL コレステロール血症
トリグリセライド
・150 mg/dL 以上 高トリグリセライド血症
Non-HDL コレステロール
・170 mg/dL 以上 高non-HDL コレステロール血症
・150~169 mg/dL 境界域高non-HDL コレステロール血症 ※②

※① 10 時間以上の絶食(水分摂取は可)を「空腹時」とする。
※② スクリーニングで境界域高LDL-C 血症、境界域高non-HDL-C 血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し治療の必要性を考慮する。

non-HDLコレステロール

日本動脈硬化学会のガイドラインでは、non-HDLコレステロールの値も脂質異常症の診断基準になっています。

お伺いした血液検査の数値から計算をしてみました。

non-HDLコレステロール =[総コレステロール]-[HDLコレステロール]

 225-69=156

(150~169 mg/dL 境界域高non-HDL コレステロール血症)

今回の検査値では、「境界域高non-HDL-C 血症」に当てはまっている事をお伝えしました。

すると「今回の検査値ってどのくらい危ないのかな?」と聞いてこられたので、ガイドラインによるリスク区分についてもお伝えする事としました。

吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル

この患者さんは、現時点では冠動脈疾患の既往歴もなく、糖尿病(耐糖能異常は含まない)、慢性腎臓病(CKD)、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患(PAD)もありません。

家族性高コレステロール血症、家族性Ⅲ型高脂血症と診断される事がなければ、冠動脈疾患予防からみたLDL コレステロール管理目標設定のための吹田スコアを用いたフローチャートでリスク区分がされると考えられます。

よって吹田スコアによるリスク区分と、予測される10 年間の冠動脈疾患発症リスクについてのお話をしました。

①年齢 50代前半 38点
②性別 男性 0点
③喫煙 あり 5点
④血圧 130台 0点
⑤HDL-C(mg/dL)69 -6点
⑥LDL-C(mg/dL)142 7点
⑦耐糖能異常 なし 0点
⑧早発性冠動脈疾患家族歴 なし 0点

合計 44点 中リスクの区分になります。

この中で最もすぐに実行できるものとして、タバコをやめる(禁煙者は非喫煙者として扱う)これだけでも-5点で、低リスク区分になります。

タバコをやめると冠動脈疾患のリスクは…

  • 禁煙後1 年でほぼ半減
  • 禁煙後 15 年で非喫煙者と同等

高LDL-Cho血症は、狭心症や心筋梗塞と言った冠動脈疾患(CAD:coronary artery disease)の危険因子となっています、生活習慣を変えてLDL-Choを低下させる事はこれらの疾患の予防を意味します。

 

まだまだお若い患者さんだったので、年齢が上がるごとにリスク区分が上がる可能性が高くなる事もお伝えしておきました。

参考:(日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017 年版.日本動脈硬化学会,2017)、今日の治療薬

 

コメント

error: Content is protected !!