ナトリウムやカリウムなどの電解質について

薬の勉強
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今日も暑い日でした、熱中症にもそろそろ気をつけないといけません。薬局で薬剤師をしていると、ほとんど輸液とかかわる事はありませんので電解質について勉強しようと思います。

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電解質とは?

よく汗をかいたら水でなく電解質の入ったスポーツドリンクを飲むように言われますが、電解質って何でしょうか?

人間の体液には電解質が含まれています、Naclは水に溶けるとNa+(陽イオン)とcl-(陰イオン)になります。つまり水に溶けることで分離して電気を通す性質を持つ物質のことを電解質といいます。

汗をかくとNaや水分が失われます。しかし水だけを飲むと体液が薄まり低ナトリウム血漿、水中毒となり命の危険にさらされることがあります。(アメリカで行われた水飲み大会で急性水中毒で参加者が亡くなった事件が有名です)

よって脱水状態にはナトリウムやカリウムといった電解質を含む経口補水液OS-1などが薦められます。

電解質は体内でミネラルとして様々な働きをします。医薬品でも塩化ナトリウム製剤、カリウム製剤、マグネシウム製剤、リン製剤、クロール製剤などがあります。

ナトリウムは、約55%が細胞外液中に存在し、体液浸透圧の調節および細胞外液量の維持に最も重要な働きをしている電解質です。血漿浸透圧の約90%はナトリウムの影響を受けており、ナトリウムの濃度に応じて細胞外液量を変化させます。

このため水とナトリウムを切り離して考えることはできません。ナトリウムが失われると水も一緒に失われます。

通常、私たちは1日5~15g程度の食塩(NaCl)を摂取して、過剰の塩分を尿中に排せつします。しかし、食事ができない人に必要な食塩量は1日量として約4~6g(Na+として60~100mEq)に設定されています。

カリウムは、細胞内の主要電解質であり、神経や筋肉の興奮・伝達・収縮などに重要な働きをしています。

カリウムは、約90%が細胞内液に存在し、細胞外液中には約2%しか存在しません。このため、血清カリウム値だけから体内のカリウム値を推測することはできません。

カリウムは1日に約40mEq(カリウム重量で約1600mg)必要で、これはKClとしては3gに相当します。

輸液の基礎知識より引用

調剤薬局でも患者様にお渡しする事があるものでは、カリウム製剤が多いと思います。

カリウム製剤

  • アスパラカリウム錠(L-アスパラギン酸カリウム) 300mg(1.8mEq)
  • グルコンサンK錠2.5(グルコン酸カリウム) 585mg (2.5mEq)
  • スローケー錠(塩化カリウム徐放剤) 600mg(8mEq)

mgmEqの表示に気がつくことと思いますが単位の違いは何でしょうか?

mgは質量で0.001g

mEqは(ミリ当量、ミリイクイバレント、メック)と色々な呼び方がありますが、物質が完全に電離したと仮定した状態の電解質の量を表す単位です。

体液を正常な状態に保つには、浸透圧(細胞膜間の濃度の異なる2液間で、水が濃度の低い方から高い方へ移動する力)が関係してきます。

よってナトリウムやカリウムなどの電解質では、mEqが重要となる事に十分注意しましょう。

なぜ電解質の単位は違うの?

例えば、電解質である食塩(NaCl)は、水に溶かすとイオンに分かれます。
NaCl → Na+ + Cl
Na+は1価の陽イオン、Clは1価の陰イオンです。

生理食塩液を例に電解質組成をみた場合、g/LではNa+が3.54g/L、Clが5.46g/Lで、陽イオンと陰イオンのバランスがとれているかどうかわかりません。

このため、電解質はmEq/Lで表します。

輸液の単位より引用

よってカリウム製剤の処方変更があった場合は、mg換算ではなくmEq換算で考えます。

ただし製剤間の上限が異なるため必ず添付文書にて用法容量を確認してからにしましょう。

※アスパラカリウム(L-アスパラギン酸カリウム)は組織移行性が高く、体内利用性も良好なため他のカリウム製剤よりも上限が低く抑えられています。(内服:1回0.3g~0.9gを1日3回 最高:1回3g=8.7mEq)

出典:まちの薬局しごと集 処方箋監査と問い合わせ