最近よくフェリー等の船に乗る事が多いのですが、初めて本格的な船酔い(乗り物酔い)を経験しました。
船は大きければ大きいほど酔いにくいと言われています。
よって総トン数が10,000トンの船よりも、115,875トンのダイヤモンドプリンセス号や、171,598トンのMSCベリッシマの方がより安定しているため酔いにくいと言えます。
また同じ船の中でも、酔いにくい場所というものがあります。
クルーズ船では、予約が早ければ同じタイプの部屋であっても自由に部屋の場所を選択する事ができます。
船酔いが心配な人は、もし選択が可能であれば、船首や船尾よりも船の中心寄りのお部屋を選択しましょう。
階数も最上階より下の階の方が揺れは少ないです。
動揺病の原因は?
乗り物酔い(動揺病:motion sickness)の原因は良くわかっていませんが、目や耳から入ってくる情報が脳に伝達される時に、情報のずれがあると乗り物酔いになって眩暈や吐き気が起きると言われています。
確かに、私がいた部屋は左右によく揺れたので、どのように動くかを全く予想できませんでした。これが船の甲板等にいて、波の動きを見て次にどのように動くのかが予想できれば酔わなかったのかもしれません。
今まで乗り物酔いになる事は全くなかったのですが、最近は普段から眩暈を経験するようになったので、老化で内耳にある前庭や半規管の機能が低下してしまったのかもしれません…
乗り物酔いに使用される薬の成分は?
OTCで使用されている成分は、主に抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン等)、抗コリン薬(スコポラミン等)、抗めまい薬(ジフェニドール等)、キサンチン類(カフェイン、ジプロフィリン、アミノフィリン、テオフィリン等)があります。
抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン等)
自律神経反射抑制(前庭器官の乱れに対する自律神経の異常な動きを抑制する)や、嘔吐中枢抑制作用があります。
抗ヒスタミン成分は、ほとんどの酔い止め薬に含まれている成分になります。
ジェネリックメーカーの皇漢堂製薬から発売されている乗り物酔いの薬「クニヒロ」は、抗ヒスタミン成分である塩酸メクリジン25㎎のみの単剤であり、比較的安価で併用薬にも気をつけやすい薬となっています。
抗コリン薬(スコポラミン等)
こちらも多くの酔い止め薬に含まれている成分です。
効果としては副交感神経を抑制する事で、自律神経の乱れを調整します。抗コリン作用による副作用である口渇、尿閉、視覚障害に注意が必要です。
薬剤師や登録販売者は、閉塞隅角緑内障や前立腺肥大症の患者さんには必ず聞き取りをして、病態や手術歴を確認して服用が可能であるかを判断してください。
大正製薬のセンパアシリーズに含まれています。
抗めまい薬(ジフェニドール等)
内耳の血流改善作用や、前庭神経の調節作用によって主に眩暈を抑制します。
酔ってからでも効くと銘打たれたエーザイの「トラベルミンR」に、ジフェニドール塩酸塩が含まれています。
また「トラベルミンR」の特徴として抗ヒスタミン成分が含まれていないので、メーカーからは眠くなりにくい酔い止め薬として販売されています。
キサンチン類(カフェイン、ジプロフィリン、アミノフィリン、テオフィリン等)
中枢神経興奮作用によって感覚器の情報のずれを抑えます。
エーザイの「トラベルミン」は、キサンチン類としてジブロフィリン、抗ヒスタミン薬としてジフェンヒドラミンの2種類の成分を含みます。
局所麻酔薬(アミノ安息香酸エチル)
内服薬の場合は、胃の痛みや吐き気を抑える目的で使用される。
エスエス製薬のアネロン ニスキャップに含まれているが、副作用としてメトヘモグロビン血症があるので6歳未満の幼児は禁忌である。
特徴として、マレイン酸フェニラミン・アミノ安息香酸エチル・スコポラミン臭化水素酸塩水和物・無水カフェイン・ピリドキシン塩酸塩の5種類の成分を含み、15歳以上であれば1日1回1カプセルの服用で長時間の効果が期待できます。
予防のための服用であれば、乗船30分前には服用しましょう。
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