齢を重ねた薬剤師として調剤薬局に勤めてわかってた事

役に立つ話
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調剤薬局に勤めて年齢を重ねてわかってきた事といっても、まったく大した内容ではないので恐縮なのですが‥。

勤務先の調剤薬局にも店頭に、少しばかりのOTCやキャンディーなど雑貨類が並べられています。

若い頃だと目の前のドラッグストアのほうが圧倒的に安いし「わざわざ調剤薬局で買う人がいるのかな?緊急時に買う人くらいだろうなぁ」と考えていました。

しかし調剤薬局で働き出して、調剤薬局で高価なOTCや雑貨を購入する人が思っている以上に多くて驚きました。

若い方や外国人の観光客だと調剤薬局の方が、飲み合わせや詳しく説明をしてもらえると思ってこられる方も多いように思います。

高齢の患者さんだと目の前のドラッグストアでも行くのが面倒だったり、しんどかったりと、ついで買いする方が多いです。

「こんなに高いのに申し訳ないなぁ‥」と思って「前のドラッグストアのほうが安いですよ」と言っても全く意に介さずに購入されていきます。

何よりもお得情報が大好きだった私も若い頃は「少しでも安いほうがいい」と考えて量販店やドラッグストアで購入していたのですが、人生の残り時間を考えた時に、段々と値段の比較に時間を使ったりする事や、様々な事を考える事が面倒になってきた傾向があります。

※しかしネットで買えるものは安い順に並べて最安値を購入してしまいます。

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シーナ・アイエンガー氏の「選択の科学」

「選択の科学」と言ってもアリエールのCMではありません。

コロンビア大学の教授シーナ・アイエンガー氏は「ジャムの法則」で、お店に並べているジャムの種類を多くしすぎると顧客のストレスが増えるため購入する割合が低下する事を実験で示して見せました。

商品によっても違いがあるかと思いますが、選択するのに疲れるという理由が最近よく理解できます。

そしてアイエンガー氏は、東アジアでも日本人は「選択という行為を他者や集団にゆだねる傾向がある」と言っています。

これも患者さんが自分で選ぶよりも、薬の専門家である薬剤師さんに任せていれば安心という気持ちに繋がっているのかもしれません。

また「選択のパラドックス」で有名な心理学者のバリー・シュワルツ氏は、選択肢が増えることにより人は選べなくなり無力感を感じ、満足度が下がる(本当に自分の選択が正しかったのか?)と言っています。

ほとんどの人は他者から強制されるよりも、自分で選択する事に幸せを感じているかと思います。

しかし選択肢が増える事は、必ずしも「幸せ」につながるわけではないみたいです。

自分自身も最近は「選択疲れ」でテレビや人から聞いたお薦めランチに行ったり、金額の多寡よりも人との対話で感じる心地よさに重きを置くようになってきた気がします。

参考資料:高齢者における「選択のパラドックス」における実情

ご高齢の患者さんから良く聞く話は「あっちのドラッグストアは感じ悪い」や「あの子がいるからこっちで買っている」と心地良さで購入している方が多いように思います。

若い頃に老後の事を考えてコツコツ貯金したとしても、あの世にお金を持って行く事が出来ないと強く意識した瞬間に、金額だけでなく強く心を動かされる体験であったりサービスにその対価としてお金を払う様になる気がします。

私もできる限り患者さんへの最良の対応を心がけて、気持ちをお返ししたいと思います。

しかしこの気持ちを逆手にとって老人を狙った詐欺事件などでは、子供や孫の様に身の回りの世話をしてあげたりするそうです。

そこで「営業成績で困っていると」持ちかければ「この子の為に何とかしてあげたい」という気持ちになってしまいお金を簡単に渡してしまうそうです。

あなたの身近の大切なご老人がだまされる事のないように、どうぞ注意してあげてください。

「孝行したい時に親はなし」と言いますが、あなたの思う親孝行は何でしょうか?

私は親孝行ができたのかな‥?

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