処方箋なしで医薬品が買える薬局
先日インターネットのニュースにて「日本初、処方せんなしで医薬品が買える薬局誕生」との見出しの記事を見つけました。
既に零売薬局は近所に数軒あります、そもそも「かなり前から零売薬局はあったのでは?」と思いながらニュースを詳しく読んでみました。
SD C株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:志賀 大)は、処方せんなしで医薬品が買える零売薬局「セルフケア薬局 雷門店」を2019年8月31日にオープンします。
雷門店のオープンにより、「セルフケア薬局」は日本で初めてとなる零売薬局チェーン店の展開を実現します。
※零売薬局とは、病院などで使用される医療用医薬品約15,000種類の内、処方箋なしでの販売が認められた医薬品約7,300種類を、薬剤師のカウンセリングのもと販売する薬局のこと。
プレスリリースより引用
きちんと記事を読むと、3年以内に都内100店舗を目指し零売薬局のチェーン展開をする事が日本初との事でした。
こちらの薬局を運営をされている「SD C株式会社」代表の方は、なんと看護師さんでありながら以前より医療コンサルや実際に医療機関の運営などをされていたそうです。
今まではこういった零売薬局に対して保健所は一様に厳しい対応だったようですが、これが100店舗さらには全国展開してドラッグストアのように当たり前の存在となってくれば、一般の方からの認知度も高まりきっと無視できない存在となってくる事かと思われます。
何よりも数が多くなれば政治的な力を持つ事ができて様々な意見も通りやすくなります。ドラッグストアが登録販売者なる資格を作り出したように、医療保険財政が逼迫してきている中で零売薬局は今後主流になってくるかもしれません。
零売薬局のニーズは?
現状では、処方箋なしで購入できる医療用医薬品がある事を知らない方が大多数なので、保険薬局で指名買いをする患者さんはほとんどいません。
まれに零売について知っている患者さんが「処方箋外医薬品を売ってほしい」とやって来ますが、薬局経営者や管理者の方針によって売ったり売らなかったりしている事かと思います。
しかし実際に患者側で購入できる事が認知され、薬局側でも売る事を推進していけば、わざわざ病院に行かず薬局で直接購入するであろう患者さんはかなりの数存在するかと思います。
常連の患者さんにも冗談っぽく、「病院に行く時間がないから、処方箋なしで売ってくれへん?」と何度も聞かれる事があります。
そして昨今のインバウンドにより増加している外国人観光客は、ほぼ処方箋を持たずに薬局に入ってくるのでかなりニーズは高いと思われます。
スマホの画像を見せながらgoogle翻訳で「この薬を売ってください」と、本当にしょっちゅうやって来ます。
零売薬局で医療費削減
団塊の世代が後期高齢者になる2022年問題など医療費の増大が懸念される昨今であれば、保険財源を使用しない零売による6000億円以上の医療費削減といったメッセージは世間からの支持を受けやすい筈です。
さらに以前よりテープ等の貼付剤を保険適用から外そうとする動きがあったり、つい最近もテレビで「市販薬と同成分の花粉症治療薬も保険適用から除外すべし」とするニュースもあったばかりなので、いずれこのような流れになっていくかもしれません。
新しい試みをしようとすれば、既得権益者からの政治的な圧力があるかもしれません。しかしまず患者さんの利益を第一に考えて、さらには医療費削減をスローガンにセルフケア薬局さんには頑張ってもらいたいと思います。
既存の保険薬局も処方箋が減って薬局の収益が減少すると考えるのではなく、零売で他の薬局との差別化をする事ができるかもしれません。また薬剤師の職域が広がる事を考えて挑戦するのも悪くないのかもしれません。
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