おそらく降圧薬で最も有名だと思われる薬はアムロジン(アムロジピン)かと思いますが(私見)、皆さんも普段からよく調剤されている事かと思います。
アムロジピンは両先発で、アムロジンは大日本住友製薬、ノルバスクはファイザーとなります。
カルシウムチャネル拮抗剤(CCB:calcium channel blocker)のジヒドロピリジン系化合物の一種で血管平滑筋のCaチャネルを阻害することで血管拡張作用を示します。
適応症例は、主に高血圧と狭心症です。
用法用量は、成人で通常、降圧治療として初期投与量5mgを1日1回を経口投与、1日1回10mgまで増量することができます。
小柄な患者、虚弱患者、高齢患者または肝機能不全症患者に対しては、1日1回2.5mg~投与を開始し、他の降圧療法に追加して本剤を投与する場合も同用量を使用します。
半減期が、35.9±7.1(hr)である事を考えると1日1回の通常投与が理想的だと考えられます。
アムロジピンは作用時間が長い事から、日内変動のある患者さんであっても服用タイミングによる降圧効果は変わらないとされています。
日内変動:通常は昼間より副交感神経が優位になる夜間の血圧は低下する。交感神経が優位になる覚醒時~朝方は血圧が上昇するとされています。ABPM(携帯型24時間連続血圧記録計)にて測定する事ができます。
- dipper型(夜間血圧下降)
- non dipper型(夜間血圧非下降)
- extreme dipper型(夜間血圧過降下)
- inverted dipper型(夜間血圧上昇)
※夜間に血圧が下がりにくいnon dipper型(夜間血圧非下降)や、inverted dipper型(夜間血圧上昇)では1日の血圧平均値が高くなる傾向にあり脳卒中や臓器障害の合併頻度が高くなると考えられている。
アムロジン(アムロジピン)1日2回の処方意図
たまにアムロジピンが1日2回の処方箋がみられますが2回に分ける処方意図はなんでしょうか?よく言われているのは、早朝時高血圧(モーニングサージ)の場合には、アムロジピン5mgを朝・夕2回投与するといったものです。
高血圧治療ガイドラインにも「降圧薬は1日1回投与を原則とするが、24時間にわたって降圧することがより重要であり、1日2回の分割投与が好ましいこともある」と記載されているようですが、医師も「何となくこの方が朝の血圧が下がるみたいだから」といった様でした。
J-GLOBALにあった論文に、高用量アムロジピンを1日1回(朝)か(夕)、または1日2回(朝夕)の3群にわけて服用した場合の降圧持続効果について比較した試験がありました。
Trial for Administration Method of Amlodipine 10mg(TRAD10)
「高血圧患者における高用量の長時間作用型Ca拮抗薬の服用時間に関する検討」より引用
診察室での血圧は、試験開始前と比して3群でいずれも有意に低下したが(朝夕2回群の収縮期血圧のみp<0.05、それ以外はいずれもp<0.01)有意な群間差は認められませんでした。
家庭血圧、各治療期の終了時における血漿BNPや尿中微量アルブミン排泄量についても3群で有意な群間差は認められなかったとされています。
高血圧は最も身近な生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)ですが、知らない事がまだまだ沢山あるのでこれからも勉強を続けていこうと思います。
ちなみに血圧についてもっと知識を深めて行きたい方は「高血圧・循環器病予防療養指導士」認定制度という資格があります。
2015年に始まった新しい制度のようですが、薬剤師にも受験資格があるので是非受験する事をお勧め致します。2019年の3月に開催される受験資格についてもサイトに記載があります。
「高血圧・循環器病予防療養指導士」認定制度この制度は、循環器病の主たる原因である高血圧等の生活習慣病の改善・予防およびその他の危険因子の管理に関する療養指導を行うために有能な専門的知識および技術を有する職種の資質向上を図り、そのことにより循環器病の予防や病態改善により、国民の健康増進に貢献することを目的として発足いたしました。この資格を取得した方が確かな知識と経験を身につけて、さまざまな場面で対象者・患者に適した助言・指導を行うことで国民の健康が増進することを期待しています。
日本高血圧学会サイトより引用