アマージ錠(ナラトリプタン)の服用間隔が2時間だと思っていた患者さん

薬の勉強

片頭痛の治療としてアマージ錠2.5mgを使用中の患者さんに「服用間隔は4時間以上あけてくださいね」とお伝えしたところ、「以前服用していたゾーミッグと同じ2時間だと思っていました」との回答から服用方法を間違って理解していたことがわかりました。

お話を伺うと以前服用されていたゾーミッグ以外にも、様々なトリプタン系の薬剤やNSAIDs等を使用してきたことがあるとの事でした。

トリプタン系の薬剤は片頭痛の確定診断例のみに投与されますが、今回のアマージも今までに服用していたトリプタン系薬剤(5-HT1B/1D 受容体作動薬)と同様の服用方法で認識されていたそうです。

さらに他のトリプタン系の残薬も持っていて、自身の痛みの度合いによって使い分けているとのお話も伺う事が出来ました。以前から服用してきた薬剤等の服用期間(3か月以上)を考えると薬物乱用性頭痛も疑われます。

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片頭痛発作とセロトニンの関係

トリプトファンから生合成される神経伝達物質であるセロトニン(5-HT)は、一次性頭痛である片頭痛発作の発生機序として考えられているいずれの説においても重要な役割を果たしています。

  • 血管説:頭蓋内外の血管収縮拡張とセロトニンとの関係が原因
  • 神経節:大脳皮質の神経変化が原因
  • 三叉神経血管説:三叉神経と三叉神経周辺血管の関係が原因

血管説では脳血管内の血小板からセロトニンが放出されると血管収縮して血流障害が起こり、セロトニンが枯渇すると今度は血管が拡張します。三叉神経説ではそれに伴い周辺の血管を刺激して神経ペプチド(CGRP、サブスタンスP等)が放出される事で炎症や痛みを感じると考えられています。

よってセロトニンのバランスを整える薬剤であるSSRIやSNRIは併用に注意が必要です。セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)の初期症状が出ていないか確認しましょう。

セロトニン症候群があらわれた場合

  • 原因薬剤の速やかな中断
  • 補液や体温冷却等の保存的治療
  • セロトニン受容体拮抗薬(シプロへプタジン等)薬物治療等

トリプタン系(5-HT₁受容体作動薬)

トリプタン製剤は、セロトニン受容体(5-HT₁)作動薬です。

5-HT₁サブタイプ

  • 5-HT₁B受容体(頭蓋内脳血管平滑筋)
    刺激⇒拡張した血管収縮⇒三叉神経の刺激抑制
  • 5-HT₁D 受容体(三叉神経終末)
    刺激⇒神経ペプチド(CGRP、サブスタンスP)放出抑制

慢性頭痛の診療ガイドラインにおいて、片頭痛急性期治療薬としてGroup1(有効)とされているアマージ以外のトリプタン系薬剤は、効果不十分時には2時間以上あけて服用するように指導がされています。

5-HT1B/1D 受容体作動薬

第一世代(脂溶性低い)
・スマトリプタンコハク酸塩(イミグラン)

第二世代(脂溶性で中枢移行性高い)
・ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
・エレトリプタン臭化水素酸塩(レルパックス)
・リザトリプタン安息香酸塩(マクサルト)

第三世代(長時間作用型)
ナラトリプタン塩酸塩(アマージ)のみ服用間隔4時間以上

トリプタン系薬剤頭痛発作が始まったら服用する薬剤です。

片頭痛発作が極期に達するまではどのタイミングで服用しても効果がみられますが、できるだけ早く服用する事が大切です。

アマージ錠のみが消失半減期が約5時間(t1/2:5.05±1.71)と長く、生物学的利用率(70%)も高く、作用時間も約12~24時間程度の効果がみられる。

またトリプタン系の薬剤同士の服用間隔は24時間以上あける必要があります。これらの薬の併用や服用間隔が短くなってくると薬剤の作用が増強され副作用(血圧上昇又は血管攣縮)の恐れが出てきます。

薬物乱用頭痛

薬物乱用頭痛とは、痛みに対する不安から頭痛薬(種類にかかわらず)を過剰に使用する事が原因となって頭痛の頻度が増える状態をいいます。

■診断基準

A.以前から頭痛疾患をもつ患者において、頭痛は1か月に15日以上存在する
B.1種類以上の急性期 又 対症的頭痛治療薬を3ヵ月超定期的に乱用している

処方箋をもって薬を貰いに来る頻度が増えたり一緒に市販の頭痛薬を購入したりする患者さんを見かけた場合、医師の処方通り服用できているか、急性期治療薬を予防的に服用していないか等を確認してみたり(乱用薬をやめる事で薬物乱用頭痛の7割が改善するといわれている)、必要に応じて慢性頭痛外来などの受診勧奨をしてみても良いかもしれません。

片頭痛と呉茱萸湯

片頭痛でトリプタン系薬剤とたまに一緒に出ている事のある漢方薬として呉茱萸湯があります。「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」において漢方薬はグレードBですが、患者さん(苦くても美味しく感じるみたいです)によっては一定の効果があるようです。

  • 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
  • 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
  • 釣藤散(ちょうとうさん)
  • 葛根湯(かっこんとう)
  • 五苓散(ごれいさん)

証によっては五苓散が出ている場合もありますが、呉茱萸湯と併用する事もあるみたいです。

参考:一般社団法人日本頭痛学会慢性頭痛の診療ガイドライン2013、アマージ錠2.5mgインタビューフォーム

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