子宮内膜症治療薬 ジエノゲスト錠「モチダ」使用上の注意改訂

薬の勉強
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子宮内膜症治療薬ディナゲスト錠のAGである、ジエノゲスト錠「モチダ」に関する使用上の注意改訂のご案内(2020年1月)がありましたので調べてみました。

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今回の改定内容

9.特定の背景を有する患者に関する注意の一項目「9.1.3 最大骨塩量に達していない患者」について太字の部分に関して追記(自主改定)がありました。

*9.1.3 最大骨塩量に達していない患者

本剤投与に際し、本剤投与による骨密度の減少の可能性や将来的な骨粗鬆症等の発症リスクを考慮した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。

また、本剤投与中は、定期的に骨塩量検査を実施するなど患者の状態に十分注意し、治療上の有益性と骨密度減少のリスクを考慮した上で投与継続の可否を慎重に判断し、漫然と投与しないこと。

12歳~18歳を対象とした海外臨床試験において、本剤52週間投与後の骨密度変化率は-1.2%であった1)。[9.7 参照]

ジエノゲスト錠1mg「モチダ」添付文書より引用

 

最大骨塩量とは?

ジエノゲスト錠の長期投与試験における骨密度の変化率として、投与24週で-1.560%(p=0.0001、t-検定)、52週で-1.740%(p<0.0001、t-検定)と有意な減少がみられました。

骨を構成するミネラル成分(カルシウム、リン、マグネシウム等)である骨塩量は、20歳頃の青年期に最大となりその後は段々と減少していきます。よって骨粗鬆症のリスクを減らすには、青年期における最大骨塩量を高い状態に保つ事も大切になります。

出典:JCVN

骨はよく鉄筋コンクリート造りの建築物に例えられることがあります。

  • 鉄筋=骨基質(コラーゲン等)
  • コンクリート=骨塩(カルシウム、リン、マグネシウム等)

RC造で有名な建築家の安藤忠雄氏のコンクリート作りの建築物は、長期間にわたりクラックなどが少なく良い状態で維持されるように施工時に最大限の注意をしています。

安藤氏は建築中のコンクリートの仕上がりに納得がいかない場合は、建物を壊してもう一度コンクリートを打ち直した事もあるほど施工にはこだわりがあるそうです。

人間の骨でも同じように、若い頃の最大骨塩量がしっかりと高い値でなければ、更年期以降の骨塩量の値にも影響を与えると考えられます。

よって青年期における最大骨塩量の値を、施工時のコンクリートの状態と考えると、最大骨塩量に達していない患者に対する投与は定期的に骨塩量検査を実施するなど患者の状態に十分注意しながら、治療上の有益性と骨密度減少のリスクを考慮した上で投与継続の可否を慎重に判断し、漫然と投与しないようにする必要があります。

という改定内容でした。

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