【脂質異常症治療薬】LDL高値でローコール(フルバスタチン)服用

薬の勉強
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あるLDL-C高値だった患者さんにローコール(フルバスタチン)が処方されました。

脂質異常症の治療薬には主にLDL-Cを低下させる作用を持つスタチン系、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂(レジン)、プロブコール、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬窓があります。

そしてTG:中性脂肪を低下させる作用を持つフィブラート系、EPA等の多価不飽和脂肪酸、ユベラ等のニコチン酸誘導体に分けられます。

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脂質異常症の薬物治療

脂質異常症の治療では、LDL-Cの値だけが高い場合はスタチン系が選択されます、TG値のみが高い場合はフィブラート系がよく効きます。

ともに高い場合はこれらが併用される事がありますが、腎機能や肝機能障害がある場合には副作用など注意が必要です。

一方でHDL-Cが低い場合にはTG高値を伴う事が多く、フィブラート系、ユベラ、EPAやオメガ-3脂肪酸エチル等が単独で開始される場合も多くみられます。

脂質異常症と言っても、各検査値によって治療方針が異なるのでご自身でも検査値の意味合いをしっかりと理解して担当医と相談しながら薬を処方してもらう事をおすすめします。

最近では一昔前のパターナリズム(父権主義)を押し付ける医師は減ってきています。そして患者自身も納得して薬を服用する事がコンプライアンスの向上にもつながり、結果として治療成績も向上する事になります。

脂質異常症の検査値を理解しておけば、心筋梗塞など冠動脈疾患の10年間の発症危険度を予測する新しいリスクスコア(吹田スコア)によって10年以内のリスクを予測する事が可能です。

下記サイトでも簡単にアテローム性動脈硬化性(ASCVD)の10年リスクを予測することができます。ASCVDリスク計算ツール

私も総コレステロール、HDL、収縮期血圧を入力してみました。

  • アテローム性動脈硬化性心血管疾患の 10 年間のリスク:2.3%
  • 最適な危険因子を持つ同様の患者の 10 年リスク:1.7%

食事と運動に気を付けて、LDLコレステロールを下げる様に頑張ろうと思います。

ストロングスタチンとスタンダードスタチン

LDL高値での第一選択薬スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)ですが、スタチン系はさらに作用の強さでストロングスタチンスタンダードスタチンに分けられます。

今回患者さんに処方されたローコール(フルバスタチン)はスタンダードスタチンで約15%程度のLDL-Cを低下させます。

スタンダードスタチンは、シン・プ・ルの語呂で覚えます。

スタンダードスタチン:約15%程度LDL-Cを低下させる

  • シンバスタチン(リポバス)脂溶性
  • ラバスタチン(メバロチン)水溶性:相互作用少ない
  • フルバスタチン(ローコール)脂溶性

ストロングスタチンは、強さをアピろー!の語呂で覚えてみてはいかがでしょうか?

ストロングスタチン:約30%程度LDL-Cを低下させる

  • トルバスタチン(リピトール)脂溶性
  • タバスタチン(リバロ)脂溶性
  • スバスタチン(クレストール)水溶性:相互作用少ない

水溶性と脂溶性の違い

水溶性か脂溶性かの判断は、各薬品のインタビューフォームの分配係数から判断することができます。

脂溶性薬物のパラメーターは分配係数(n-オクタノール/水)で、油のn-オクタノールに溶解する薬物濃度と水に溶解する薬物濃度の比で表される。

分配係数が1より大きければ脂溶性小さい場合は水溶性に分類される。

分配係数を対数(logP)で示した場合、脂溶性はプラス(+)水溶性はマイナス(-)となり、脂溶性が高いほど大きな値となる。

引用:福岡県薬剤師会

ローコール(フルバスタチン)は、スタンダードで脂溶性

門前の処方箋のほとんどがストロングスタチンだったので、「スタンダードスタチン珍しいなぁ、ストロングスタチンでの副作用でもあったのかな?」と思いました。

患者さんに詳しく話を聞くと、「クレストールでLDL-Cがあまりにも下がりすぎたので、ローコールに変更になった」との事でした。スタンダードでも、なぜローコールなのかはわかりません。

最初はLDL-C182(基準値 70~140mg/dl)だったのが、基準値下限程度にまでなったとの事でした。LDL-Cは悪玉コレステロールとの名称から低くてもあまり気にしなくても良いと考えますが、LDL-Cは細胞膜やビタミンK、ホルモンの材料でもあります。

あまりにも低くなりすぎるとホルモンバランスの乱れや免疫機能が低下から感染症のリスクも考えられます、よってL/H比や総コレステロールとのバランスも考える必要があるようです。

おわり

参考:新・違いがわかる同種・同効薬(南江堂)、国立循環器病研究センター

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