献血の習慣がある患者さんから「献血の検査値でグリコアルブミン(GA)が基準より高いんだけど、この数値以上だと糖尿病になるんですか?」と質問がありました。
グリコアルブミンとは?
グリコアルブミンとは、タンパク質であるアルブミンにブドウ糖がくっついたものです。血中のブドウ糖(血糖値)が多くなるとグリコアルブミンの割合も増えてきます。
薬局で見る血液検査や健康診断などの数値では、HbA1Cや血糖値を糖尿病の指標として判断する事になるので、グリコアルブミンは一般の方にとってはあまりなじみのない検査値かもしれません。
しかし献血をすると生化学検査の項目としてグリコアルブミンが糖尿病の検査値として測定されます。ここでの基準値は16.5%未満となっています。
そして日本赤十字社のサイトによると「上記の標準値は、献血を希望された方々の検査結果から算定したもので、正常または異常を表すものではありません。」との記載がある為に患者さんは自分が糖尿病であるのか?それとも気にしなくてもよいのか?と疑問に思われたそうです。
血糖とHbA1cとグリコアルブミンの違い
血糖値は、食事前の「空腹時血糖値」やブドウ糖を摂取した後の「食後血糖値」等、血中のブドウ糖を調べます、食事や運動等の影響を受けて直ぐに変化します。
HbA1cは、赤血球の中にあるヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものです。ヘモグロビンにも、A0やA1やA2などの種類があり、その中でもA1にくっついた糖の種類でA1cを糖尿病の指標としている。ヘモグロビンの寿命約120日より、HbA1cは過去2か月程度の血糖指標とされている。
グリコアルブミンは血糖値とHbA1cの間である、過去の約2週間程度の平均血糖状態がわかります。HbA1cよりも変化が速いため、治療や食事運動療法の効果が見えやすいと言われています。
献血でグリコアルブミンを使用する理由
食事の影響を受ける血糖値は変動が激しい事、そしてHbA1cの検査には検体を追加する必要がありコストが余計にかかります。しかしグリコアルブミンは過去2週間の血糖平均値を見ることが可能であり、さらに同じ検体で測定が可能であるため、献血にはグリコアルブミン(GA)が検査値として採用されています。
グリコアルブミン値による糖尿病の診断
糖尿病診療ガイドライン(2019)では、グリコアルブミンは糖尿病の診断には用いられていませんが、日本赤十字社ではグリコアルブミン値の基準を以下の様に示している。
- 15.6%~16.5%未満「正常高値」
- 16.5%~18.3%未満「境界域」
- 18.3%~「糖尿病域」
一方で「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」では、糖尿病透析患者の血糖管理目標値として20%未満、心血管イベントの既往歴と低血糖傾向有の場合24%未満を推奨しています。また臨床検査の知識(改訂5版)では基準値は12.4~16.3%としているものの血糖コントロール不良は30%以上としています。
この様に糖尿病診療ガイドライン(2019)では、グリコアルブミンでの糖尿病の診断はされていないものの、日本赤十字社の基準である18.3%を超える糖尿病域であれば、まずは食事や運動療法を心がけて一度内科(できれば糖尿病専門医のいる糖尿病内科)を受診する事をお勧めいたします。
グリコアルブミンをHbA1cに換算
以前の目安としては、グリコアルブミンを1/3倍した値をHbA1c値としていたようですが、現在は以下の公式にて換算しているようです。
HbA1c(JDS) = 1.73 + 0.245 GA
HbA1c(NGSP)=1.02xHbA1c(JDS)+0.2511) Tahara Y. Diabetes Res Clin Pract. 2009;84(3):224-9.
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