「かかりつけ薬剤師」の制度について思うこと

保険調剤事務
2015/ 3/15 8:39
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かかりつけ薬剤師指導料の負担金額

かかりつけ薬剤師の同意を、患者さんからいただくのが苦手な人は多いかと思います。その原因としてまず第一に考えられるのは「かかりつけ薬剤師指導料」として受付1回につき76点が発生するからではないでしょうか?

しかし患者さんは、実際には760円全額を支払う必要はありません。

通常の患者さんでも算定される「薬剤服用歴管理指導料」が57点or43点(3か月以内にお薬手帳を持参した場合)なので、「かかりつけ薬剤師指導料」との差額にすると19点or33点、金額で言うと190円or330円となります。

さらに3割負担の患者さんで実質負担は約60円~100円です、1割負担の患者さんだと約20円~30円位でしょうか。それでも患者さんにとっては余分に金銭的な負担を生じさせてしまいます。

私はいつも来局される患者さんに「会社が倒産しそうでなぁ…、時短勤務になったから給料が減ってなぁ…」と言われるたびに「かかりつけ薬剤師指導料なんて言い出せないなぁ」と思ってしまいます。

同意書にサインをいただく

そして次のハードルは「かかりつけ薬剤師」の情報を提供して、患者さんから同意書にサインをいただく必要があります。同意書には、かかりつけ薬剤師の業務内容・意義役割・費用・かかりつけ薬剤師を必要とすると判断した理由を説明しなければなりません。

この同意書をいただくためには、患者さんが薬局に複数回来ている必要があります。よって初回でいきなり「かかりつけ薬剤師指導料」の同意書をとってはいけません。

そして「かかりつけ薬剤師」の同意を取得して、次の来局時より算定することができます。かかりつけの同意をいただいたら、おくすり手帳に薬剤師の氏名、薬局の名称、連絡先を記入しておきます。

経営者からすれば同意をたくさん取ってくれる薬剤師さんが良い薬剤師でしょうが、いただいた点数に見合ったサービスを多くの患者さんに提供する事はなかなか大変です。

かかりつけ患者の来局時間が重なった場合

たとえば良くあるシチュエーションでは、かかりつけをいただいた患者Aさんに聞き取りや丁寧に説明をしていたところ、別のかかりつけの患者Bさんが来て待っている状況が生じた場合はとても気まずく服薬指導中も落ち着きません。

投薬中の患者Aさんは納得いくまで説明を受けたいので、そわそわしながら話を打ち切られて次の患者Bさんに投薬に行かれるときっと気分を害される事でしょう。

しかし患者Bさんもお気に入りの薬剤師さんに「かかりつけ薬剤師」登録をしているので、他の薬剤師さんが空いていてもじっと待つことになります。

仮に他の薬剤師さんに投薬された場合は指導料は発生しませんが、なんとなく自分は粗末にされた気がしないでしょうか?結局のところどちらかに嫌な思いをさせる事になります。

かかりつけ薬剤師の施設基準

かかりつけ薬剤師指導料を算定するには以下の要件を全て満たす保険薬剤師が配置されている必要があります。

(1) 以下に掲げる勤務経験等を有するもの。

保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験
当該保険薬局に週32時間以上の勤務
(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律による措置が講じられ、所定労働時間が短縮された場合は週24時間以上かつ週4日以上である場合を含む)
当該保険薬局に1年以上在籍している

(2) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。

(3) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

かかりつけ薬剤師に求められる事

かかりつけ薬剤師に求められる事は色々とあります。

まず服薬状況を一元的・継続的に把握した上で服薬指導を行う必要があります。

そして患者の意向を確認して服薬指導の内容を手帳に記載します。

さらに患者さんの受診する全ての医療機関の情報を把握して処方薬だけでなく、要指導医薬品一般医薬品健康食品等も全て把握する必要があります。

そして必要に応じて服用中の薬剤を保険薬局に持参する袋を提供して「ブラウンバッグ運動」の意義を説明します。

※ブラウンバッグ運動は、1980年代にアメリカで始まったと言われています。病院での処方薬だけでなく、一般医薬品やサプリメントを全てバッグに入れて持参してもらい、副作用や相互作用などの危険性を早期に発見して早期に対策する事を目的とした運動。

血液検査の結果を持ってこられた場合は情報を参考に薬学的管理や指導を行います。

24時間相談に応じる体制が必要

そして患者さんから24時間相談に応じる体制を取り、薬局の開局時間外の連絡先を伝えて、勤務表を患者さんに渡す必要があります。

これには女性の薬剤師さんにある種の危険が伴います。

医療職でよく見られる光景ですが、来局ごとに顔を合わせるだけでも「単純接触の原理」により、人は相手に好意を抱くようになります。

そして「好意の返報性」により服薬指導時に、検査値が良くなって褒められたり、病気の心配をして優しく声かけされると人は勘違いして好意を抱くようになります。

当薬局の優しい女性薬剤師さんも、おじさん患者さんに勝手に好意を持たれてしまい体を触られたりセクハラ行為を受けるといった被害にあってしまいました。

最近ニュースであったAKB48の元メンバーも、握手会で仕事として優しく声かけした事によってストーカー行為をうけ、職業不詳の男が逮捕されたという事件があったそうです。

かかりつけ薬剤師制度では、おじさんが「登録をしてあげた」という気持ちを持つ事でストーカー化する危険性を孕んでいるかもしれません…。

かかりつけ薬剤師の存在意義

ほとんどの薬剤師さんは、かかりつけ指導料がなくともできる限りの患者対応はしているし、服薬指導もきちんとしているかと思います。

しかし勤務する薬局の方針だからと深く考える事無く、かかりつけ薬剤師の意義や上記の説明をする事無く同意書に記入させて、適当な対応をしている薬剤師も中にはいる事でしょう。ノルマでなく、かかりつけ薬剤師を必要とすると判断した理由が本当にあるのか今一度考えてみましょう。

とはいえ、私は「かかりつけ薬剤師」の制度自体はあって良いものだと思います。私も患者の立場なら、何を聞いてもしっかりと回答してくれる知識のある薬剤師さんから指導を受けたいからです。

かかりつけ薬剤師指導料が仮に無料であれば、自分と相性の合うしっかりとした薬剤師さんを選択するでしょうし、本当に必要だと思える患者さんに自信を持って勧めることができるものだと思います。

患者さんも「この人から薬の説明をしてもらいたい」と考えて、本当の意味での人気のバロメーターとなるかと思います。

現状の制度で(かかりつけの同意取得数=患者さん思いの薬剤師)と判断するのはどうも違うような気がします。ノルマがあったり、患者さんに余計な費用が発生すると、まじめにやろうとする薬剤師ほど、余計な事に気を使い疲弊してしまうのではないでしょうか?延いては調剤ミスの原因にもなりかねません、そうなると本末転倒な気がします。

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