最近、当薬局の管理薬剤師さんが退職する事になり、そして新しい管理薬剤師の方に交代する事になりました。
新しく入職された管理薬剤師さんは、とても元気で感じの良い方なので薬局の雰囲気が非常に良い感じになりました。
組織の雰囲気が、良くも悪くも一人の人間により全く異なったものとなり、あらためてリーダーという職務の重要性を感じる出来事でした。
しかし今回の管理薬剤師交代により残念な事もありました。
それは今まで算定できていた「地域支援体制加算」や「かかりつけ薬剤師指導料」が全て無くなってしまった事です。
それぞれの点数は1枚あたりにすると「35点」と「73点」ですが、再び算定できるまでの事を考えた時に、なかなかの金額になります。
地域支援体制加算とは?
今まで存在した基準調剤加算に変わって、去年(2018年)より新設された施設基準となります。
前回よりもハードルが少し上がりましたが、施設基準を満たしている場合35点が、調剤基本料に加算されます。
調剤基本料1を算定する薬局であれば、41点に35点が加算されるので受付1回あたり76点が調剤技術料のベースになりますので、かなり大きなウェイトを占める事になります。
施設基準は調剤基本料1を算定できている施設であれば比較的地域支援体制加算は算定しやすくなっています。
調剤基本料2や調剤基本料3であれば、様々な加算(8項目)の算定実績の回数が問われるので現実問題として算定する事はかなり難しいかと思われます。
調剤基本料1を算定していれば、まず以下の条件3つだけでOKで、各種加算の算定実績は問われません。
- 麻薬小売業の免許を取得し必要な指導ができる。
- 直近1年間に在宅患者に薬学的管理指導の実績がある。
- かかりつけ薬剤師指導料等の届出をしている。
麻薬・在宅・かかりつけ薬剤師の3点です。
調剤基本料に関係なく必要な要件は?
残りの要件で主なものを簡単に挙げてみます、まず今回の管理薬剤師の要件からです。
■管理薬剤師の要件
保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験届出時点で当該薬局に1年以上在籍週32時間以上勤務
■24時間調剤及び在宅業務
・24時間対応できる体制を整備(当該保険薬局を含む近隣薬局3軒まで連携可能)
・在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行い薬学的管理指導が可能な体制を整備
・原則初回の処方箋受付時に「24時間対応OK」の担当者と連絡先を文書(薬袋OK)で交付、薬局の外側の見えやすい場所にも掲示する
■開局時間
薬局の開局時間は平日8時間以上、土曜日or日曜日のいずれか一定時間開局、合計で週45時間以上開局する
■後発医薬品の調剤割合
特定の保険医療機関の処方箋調剤の割合85%超の場合、後発品の規格単位数量の割合が、当該加算の施設基準届出時の直近3カ月間の実績として50%以上
■備蓄医薬品:1200品目以上
■その他
・一般用医薬品(OTC)を販売している
・医療材料や衛生材料を供給できる体制を有する
・パーテーションで区切られた独立カウンターで患者のプライバシーに配慮
・薬局内にコンピューターを設置してPMDA、メディナビに登録・健康情報拠点となり、健康相談や健康教室を行っている旨を薬局内外に掲示する
・地域の保健医療、福祉サービスとの連携を調整するMSWやケアマネ等の地域の担当者と連携する
・薬局機能情報提供制度により前年1年間に「プレアボイド事例」の取り組み実績有り
・副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施できる体制を有する
など
これらの要件を全て満たしているとようやく「地域支援体制加算」が算定できます。
実際にきちんと出来ているのかを一つ一つ検証、確認していくと算定できない薬局が出てくるような気がしないでもありません。
そして今回の事例では、管理薬剤師の退職、交代となり新しい薬剤師さんが着任した事で、管理薬剤師「当該薬局に1年以上在籍」という要件から外れてしまい算定する事が出来なくなってしまいました。
よって月間の処方箋枚数が約1000枚と仮定すると‥‥
1000枚×12ヶ月×350円=4,200,000円なんと月間1000枚の店舗でも年間では、420万円もの減収となってしまいます。
さらに前任の管理薬剤師さんが持っていた「かかりつけ薬剤師指導料」も計算するともう少し増える事になります。
よって管理薬剤師を交代させる場合は、既に勤務している薬剤師さんを昇格させる方が良さそうです。
管理薬剤師になりたい方はそれ程多くないので中々難しいかもしれませんが、この金額を考えると選択の余地はなさそうです…。
しかし現場とすれば新しい薬剤師さんを1年間雇用し続けて、1年間は二人体制でいたほうが新しい管理薬剤師さんも職場に慣れるまでは良いのかな?と思います。(※管理薬剤師の突然の退職や、職場の人間関係に問題がない場合に限り)
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