いつも門前内科の薬だけを、うちの薬局でお渡ししている患者様が来局されました。お薬手帳で併用薬を確認したところ、他院婦人科にて痛み止めが追加になっていました。併用薬はレトロゾール(フェマーラ)のみ。
私「併用薬で痛み止めが増えてますね」
患者さん「朝起きたら手の指が強張って、日中はましになるんです」
私「薬の副作用かな?でも朝のこわばりだとリウマチやへバーデンに症状が似てますね」
患者さん「詳しい検査したので、次回結果わかるのでまたお知らせします」
そして併用薬のフェマーラについて添付文書で調べると関節痛や骨粗鬆症の副作用と記載あり。どうやらこちらのほうが可能性としては高そうです・・・
レトロゾール(フェマーラ)とは?(アロマターゼ阻害薬)
適応:閉経後乳がん(ホルモン感受性乳がん)
作用機序:アロマターゼ阻害作用
副腎皮質から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲン(女性ホルモン)へ変換させる酵素アロマターゼ阻害作用があります。
これによりエストロゲンの量を減らし、乳がん細胞の増殖や再発を抑制します。
またエストロゲン量を少なくさせる事で、FSH(卵胞刺激ホルモン)を分泌させ、排卵を誘発します。この作用を用いて不妊治療薬として用いることもあります。
アロマターゼ阻害剤(AI剤)を服用する閉経後乳癌患者の約半数は関節の痛みやこわばりを経験しているそうです。
時間の経過とともに軽快する事が多いそうですが、高用量ビタミンDの投与により、レトロゾール療法に伴う関節痛や倦怠感の改善に有効であるという研究結果もあります。
日常生活の工夫として、間接をゆっくり動かしたりストレッチ体操が推奨されています。(痛みがばね指でない事を確認してから行ってください)
またエストロゲンの減少に伴い骨密度が低下して骨粗鬆症になることがあります。Ca、VtDをよく取り適度な運動を心がけるようにしましょう。