【潰瘍性大腸炎】リアルダ錠が冷所保存の理由⇒溶出性の上昇

薬の勉強
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安倍元首相の持病としても潰瘍性大腸炎は有名ですが、国内患者は約22万人もいます。

そして軽症~中等症の活動期潰瘍性大腸炎の寛解導入治療法の初期治療などに用いられるリアルダ錠(一般名:メサラジン腸溶錠)

通常、成人にはメサラジンとして1日1回 2400mgを食後経口投与する

・活動期 通常、成人にはメサラジンとして1日1回 4800mgを食後経口投与するが、患者の状態により適宜減量する

 リアルダ錠は放出制御製剤であるため、溶出性が上昇してしまうと、成分であるメサラジン(5-アミノサリチル酸)が大腸全域で持続的に放出できなくなります。
よって、一包化、分割、粉砕、簡易懸濁もできません。
この薬は卸さんから受け取るときに「冷所です」と毎回言われるので、すぐに冷蔵庫に入れていましたが、その理由である溶出性の上昇に関して調べてみました。
服薬指導時は「必ず冷蔵庫で保存してくださいね」と伝えているものの、患者さんが冷蔵庫に入れ忘れた場合にどの位の時間と温度であれば問題ないのでしょうか?
インタビューフォーム 6. 製剤の各種条件下における安定性を調べてみると以下の様に書かれています。

高温条件ではリアルダ錠の溶出性が上昇するためです。

日本より先にリアルダ錠を発売していた海外では、貯法を25℃以下に設定していましたが、ロット間のばらつき等を考慮し、冷所保存(1~15℃)に設定しました。

なお、室温保存の規定の上限の温度である30℃(65%RH)6ヵ月の加速試験を実施したところ、溶出性が規格上限付近まで上昇しましたが、冷所保存の規定の上限である15℃では長期の安定性が確認されました1)

どうやら海外では、25℃以下で発売されていたようです。

冷所以外の温度での安定性の結果を見てみると、加速試験30℃であっても3か月までは規格に合格と書かれてありました。

だとすると、夏場でもエアコンのよく効いた室内で少しくらいの時間であれば、まず問題はなさそうです。

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5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)

薬効分類:5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)

潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患における腸などの炎症を抑え、腹痛、下痢、下血などの症状を改善する薬

5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)には、ペンタサ、アサコール、リアルダなどの薬があります。
このうち、アサコールとリアルダはpH依存性徐放剤であり、下部消化管(十二指腸より下の小腸と大腸)つまり病変部である大腸pH7.0以上)に到達してから有効成分であるメサラジンが放出されるように設計されている。
※リアルダ錠は、MMX:マルチマトリクス構造(5-ASAを親水性および親油性基剤からなるマトリクス中に分散させた素錠を、pH応答性高分子フィルムコーティングした製剤)であり、胃や小腸での5-ASAの放出は抑制され、有効成分5-ASAを大腸全域へ運び持続的に放出する。

リアルダ錠でのインシデント(数量間違い)

1シートが8錠(1包装は56錠)であることから、リアルダ錠では数量間違いのインシデントが多く報告されています。

10錠と勘違いをして計算してしまうと患者さんに数量不足の状態でお渡ししてしまいます。

潰瘍性大腸炎の治療薬は飲み忘れによって症状の悪化が懸念されるので、自己監査により数量間違いを回避しましょう。

参考:持田製薬リアルダ錠インタビューフォーム 添付文書:PDFファイル

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