ヘリコバクターピロリ感染症除菌薬 ボノサップ400と800の違い

薬の勉強
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ヘリコバクターピロリ感染症の除菌薬はパック製剤として、武田薬品のボノサップとボノピオン、エーザイのラベキュアとラベファインのパック製剤があります。

一次除菌 (1回量)

  • ボノサップパック400/800(ボノプラザン20mg+AMPC750mg+CAM200mgor400mg)
  • ラベキュアパック400/800(RPZ10mg+AMPC750mg+CAM200mgor400mg)

二次除菌 (1回量)

  • ボノピオンパック(ボノプラザン20mg+AMPC750mg+MNZ250mg)
  • ラベファインパック(RPZ10mg+AMPC750mg+MNZ250mg)

武田薬品のランサップやランピオンパックは既に販売中止となっていますが、ランサップとボノサップを比較した二重盲検比較試験では除菌率が75.9%から92.6%と向上していることもあり、一次除菌で使用されるのはほとんどボノサップではないかと思われます。

実習生さんから「クラリスロマイシンの1 日あたりの投与量が400mgと800mgの違いがありますが、除菌率にはそれほど差がないようです。ピロリの一次除菌には、ボノサップ400と800のどっちを使うのですか?」と質問がありました。

ちなみに添付文書には以下のように記載されています。

用法及び用量

通常、成人にはボノプラザンとして1 回20mg、アモキシシリン水和物として1 回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1 回200mg(力価)の3 剤を同時に1 日2 回、7 日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1 回400mg(力価)1 日2 回を上限とする。

全く同じ内容を株式会社メディカルリソースのサイトであるファルマスタッフさんの薬剤師クイズで見た事があったので、すぐにパソコンのサイトを開いてみてもらいました。

クラリスロマイシンの含有量が異なるピロリ菌除菌パック製剤の使い分けは?

「喫煙者に対しては、クラリスロマイシンの高用量の投与が好ましいと考えられます。後ろ向き研究の報告ですが、喫煙者に対する一次除菌において、クラリスロマイシンの投与量を400mg群と800mg群に分けて解析した結果、800mg群の治療成績の方が有意に優れている、という報告があります。」

株式会社メディカルリソースより引用

答えがすぐに出てきたのですが、実際にネットを検索して論文を探してもらう事にしました。

調べてもらった論文で「喫煙性消化性潰瘍患者のヘリコバクターピロリ感染症に対する1週間の三重療法において、400mgのクラリスロマイシンレジメンよりも800mgの方が治癒率が高い」という論文があったので、恐らくボノサップにおいても喫煙者は800mgで対応する方がよいのではという結論に達しました。

背景/目的: プロトンポンプ阻害剤とアモキシシリンおよびクラリスロマイシン(PPI / ACレジメン)を使用したヘリコバクターピロリ根絶療法では、クラリスロマイシンの投与量と喫煙が有効性に及ぼす影響は矛盾しています。ここでは、消化性潰瘍患者の喫煙に関連して、レジメンでのクラリスロマイシン400mgと800mgの有効性を比較しました。

方法: アモキシシリン750mgとクラリスロマイシン200または400mgをランソプラゾール30mgを1日2回投与した消化性潰瘍のH.ピロリ陽性患者601人を研究しました。

結果: 305人の患者が400mgのクラリスロマイシンを含むレジメン(C400グループ)で治療され、296人の患者が800mgを含むレジメン(C800グループ)で治療されました。

2つのグループ間の全体的な治癒率に有意差はありませんでしたが、クラリスロマイシン感受性株に感染した患者では、C800グループの治癒率はC400グループの治癒率よりも有意に優れていました(p = 0.03)。

この違いは、喫煙者と非喫煙者の違いに起因する可能性があります。

C800グループの喫煙者の治癒率(91.0%)は、C400グループの治癒率(80.0%、p = 0.003)よりも優れていました。

結論: 喫煙してクラリスロマイシン感受性ヘリコバクターピロリに感染した患者には、PPI / ACレジメンで800mgのクラリスロマイシンが推奨されます。

2007 S. Karger AG、バーゼル

参考:A better cure rate with 800 mg than with 400 mg clarithromycin regimens in one-week triple therapy for Helicobacter pylori infection in cigarette-smoking peptic ulcer patients.

Ishioka H, Mizuno M, Take S, Ishiki K, Nagahara Y, Yoshida T, Okada H, Yokota K, Oguma K.Digestion. 2007;75(2-3):63-8. doi: 10.1159/000102301. Epub 2007 May 3.PMID: 17476101
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ボノサップの名称由来

ボノサップの名称に関しては、以前に販売されていたランサップありきで命名されている感じがありました。
ランサップLansoprazole & Antibiotics Package ⇒ LANSAP
ボノサップVonoprazan pluS Antibiotics Package ⇒ VONOSAP

ボノピオンの名称由来

ボノピオンも一緒に調べてみましたが、やはりランピオンから引き継がれているようです。

ランピオン:二次除菌のレジメン(Lansoprazole + Amoxicillin +Metronidazole)+代表者・勝利者を意味する英語「champion」 ⇒  LAMPION
ボノピオンVonoprazan + 代表者・勝利者を意味する英語「champion」 ⇒ VONOPION

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