アミティーザ・リンゼス・グーフィスなど便秘薬の種類が増えてきました。
2018年11月に発売された慢性便秘症治療薬の「モビコール」を投薬する機会があったので、添付文書とインタビューフォームより調べてみました。
モビコールとは?
モビコール配合内溶剤は、2018年11月~2019年5月まで市販直後調査が行われていました。
主成分はポリエチレングリコール(PEG)ですが、新規医薬品扱いの為(2019年11月末日)までは投薬期間が14日分が限度となっています。
便を動かして(MOVE)呼び込む(CALL)ので「モビコール」かと思っていたのですが、インタビューフォームによると、名称の由来は特にありませんでした。
効能効果は慢性便秘症で(器質的疾患による便秘)を除くとされています。
「慢性便秘症診療ガイドライン2017」によると、便秘の定義は①器質性と②機能性にわかれています。
①器質性はさらに狭窄性、非狭窄性にわかれていますが、モビコールは大腸がんやクローン病、大腸炎、巨大結腸など様々な疾患により起きている器質的疾患による便秘の場合は適応がありません。
②機能性は排便回数減少型、排便困難型にわかれています。検査や病態でさらに細分化されるので状態にあった治療方法や生活改善が必要となります。
モビコールの作用機序
- ポリエチレングリコール(PEG)に保持された水分が大腸内の水分量を増やします。
- 便中の水分量が増える事で便が軟化して、便の容積が増大します。
- 大腸の蠕動運動が活発になりスムーズに排便されます
モビコールの用法用量
モビコールは、2歳以上の小児で使用することが出来ます。
2才~7才未満の幼児には、初回用量として1回1包を1日1回経口投与。
7才~12才未満の小児には、初回用量として1回2包を1日1回経口投与。
(適宜増減:1日1~3回、最大4包/日・1回量2包まで)
(増量は2日以上の間隔をあけて、増量幅は1日量として1包まで)
12歳以上の小児・成人には、初回用量として1回2包を1日1回経口投与。
(適宜増減:1日1~3回、最大6包/日・1回量4包まで)
(増量は2日以上の間隔をあけて、増量幅は1日量として2包まで)
モビコールの調整方法
粉状なので1包あたり、水(60ml)で溶解して経口投与します。
製品名が「モビコール配合内容剤」でパッケージ画像から最初は液剤かと思っていたのですが、成分がPEGであるマクロゴール4000との事なので粉末の状態でした。
出典:持田製薬株式会社
保存する必要がある場合は冷蔵庫に保存することが出来るとされていますが、できるかぎり速やかに服用する必要があるようです。
成分はポリエチレングリコール(PEG)と電解質です。
- マクロゴール4000
- 塩化ナトリウム
- 炭酸水素ナトリウム
- 塩化カリウム
ポリエチレングリコール(PEG)であるマクロゴールは、腸管洗浄剤の主成分として用いられるエチレンオキシドと水の付加重合体であり毒性(LD50値)が低い化合物とされています。
分類としては、塩類下剤であるマグミットと同じく浸透圧性下剤の一種になります。
マクロゴール4000とは?
マクロゴールについている数字は、平均分子量を表しています。
そしてマクロゴールの特性である吸湿性は、この数字(分子量)が大きくなるほど低下します。
マクロゴール200など数字の小さなものは吸湿性が高く無色透明の液状で、浣腸などに使用されているグリセリンに近い性質を持っています。
一方、モビコールに使用されているマクロゴール4000の性状は白色のフレーク又は粉状です。
水に極めて溶けやすい性質の為、モビコールは水やりんごジュースに溶かして服用することが出来ます。
また皮膚の保護剤や軟膏基剤として用いられる事のあるマクロゴール軟膏は、マクロゴール400とマクロゴール4000を混合したものになります。
参考:慢性便秘症診療ガイドライン2017・持田製薬モビコール配合内用液インタビューフォーム
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