ネイリンカプセルとイトリゾールの違い(約20年ぶり経口爪白癬治療薬)

ネイリン 薬の勉強

先日、爪白癬の患者さんにネイリンカプセルが処方されました。

なんと、日本人の10人に1人は爪白癬に罹患しているそうです。

実際に受診して来局されている患者さんはもっと少なく感じるので、ほとんどの患者さんは病識もなく未受診の方がたくさんいるんだと思われます。

このネイリンカプセルは、エーザイが創製した新規のトリアゾール系抗真菌剤です。イトリゾールから、実に約20年ぶりの経口爪白癬の治療薬との事です。

初めての服薬指導だったので、詳しく調べてみました。

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ネイリンカプセルの基本事項

名称の由来:ネイルインから⇒ネイリンとの事です。

爪(NAIL)に薬物が入る(IN)ことからNAILINと命名

有効成分:ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物

※「ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物」は、「ラブコナゾール」のプロドラッグ(代謝作用を受けて薬効を示す医薬品)です。

効能効果:適応菌種、適応症ともに一つだけです
[適応菌種]皮膚糸状菌(トリコフィトン属)
[適応症]爪白癬

※使用上の注意に「直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること」とあるので、患者さんには「爪白癬ですか?」と一言確認したほうが良さそうです。

作用機序:真菌の細胞膜成分エルゴステロール生合成阻害

用法用量1日1回 1カプセルを、12週間経口投与

食事に関係なく服用可能ですが、なるべく同じ時間に服用する事が望ましいとされています。

臨床試験での成績:国内第Ⅲ相臨床試験にて、ラブコナゾールを1日1回食後に12週間経口投与し、その後、36週間を無治療で観察

完全治癒率「爪甲混濁部の消失・直接鏡検で皮膚糸状菌が陰性」59.4%
著効率「爪甲混濁部面積比の減少率が60%以上」83.1%
有効率「爪甲混濁部面積比の減少率が30%以上」94.4%です。

約6割の患者さんが完全治癒(混濁部分の消失、直接鏡検で皮膚糸状菌「陰性」)するようです。

治療には爪の生え変わりの期間が必要なので、12週間の服用終了後に36週間の様子見で治療効果を見る必要があるようです。

併用注意:CYP3Aを阻害作用あり

  • シンバスタチン:商品名リポバス
  • ミダゾラム:商品名ドルミカム
  • ワルファリン:商品名ワーファリン

しかしネイリンカプセルは、併用禁忌がないので使いやすいお薬かと思われます。

イトリゾールの基本事項

名称の由来:一般名イトラコナゾールより命名

有効成分:イトラコナゾール

効能効果:ネイリンカプセルと違い、様々な適応菌種・適応症があります
[適応菌種]
皮膚糸状菌トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属、マラセチア属、アスペルギルス属、クリプトコックス属、スポロトリックス属、ホンセカエア属
[適応症]
①内臓真菌症:真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
②深在性皮膚真菌症:スポロトリコーシス、クロモミコーシス
③表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)
・白癬: 体部白癬、股部白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡
・カンジダ症: 口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎、カンジダ性毛瘡、慢性皮膚粘膜カンジダ症
・癜風、マラセチア毛包炎
爪白癬

作用機序:真菌の細胞膜成分エルゴステロール生合成阻害

用法用量:適応症により異なりますので爪白癬(パルス療法)のみ記載
1日2回 200mg/回(1日量400mg)食直後1週間経口投与、その後3週間休薬する。
これを3サイクル繰り返す。(適宜減量可)

成績:IFによる市販後調査での有効性より
最終観察時or中止時とパルス療法開始時との混濁比の改善度、及び直接鏡検の結果より、著効以上であったのは51.5%、有効以上は84.3%。

IFでは完全治癒率がわかりませんが、他のランダム化二重盲検並行群間比較試験※では、治癒率は24週後は5.8%、48週後には34.0%とされている。

文献:※趾爪白癬患者におけるランダム化二重盲検並行群間比較試験によるイトラコナゾールパルス療法至適用量サイクル試験1年間のフォローアップを含めて(日皮会誌114:55-72/2004)

併用禁忌薬:イトリゾールは禁忌が山盛りです

1) ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、エプレレノン、ブロナンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アスナプレビル、バニプレビル、スボレキサント、イブルチニブ、チカグレロル、アリスキレン、ダビガトラン、リバーロキサバン、リオシグアトを投与中の患者
2)肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
3)本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
4)重篤な肝疾患の現症、既往歴のある患者
5)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人

ネイリンカプセルは患者さんの負担金額が高額?

ネイリンカプセルは、1カプセルで薬価804.6円です。

12週間だと、84日×804.6=67586.4円

3割負担だと、技術料を考えずこの薬だけで支払いが20275.92円と高額になってきます。

現時点では、かなりの確率でお会計時に患者さんから「高い薬やなぁ!、いつまで飲まなあかんの?」と言われてしまいます。

イトリゾールカプセル50も、パルス療法だと結構な金額になるのですが、ネイリンカプセルと比較すると約5000円くらいの金額差になります。

315.6×8C×7日×3サイクル=53020.8円 3割負担で15906.24円

ただイトラコナゾール錠100mgは、薬価が243.2なので大分お財布に優しくなります。

243.2×4T×7日×3サイクル=20428.8円 3割負担で6128.64円

ラミシール錠(テルビナフィン)は?

テルビナフィンは、添付文書にも警告(重篤な肝障害及び汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少)の記載があります。

過去に副作用による死亡例があった事もあり、投与前に肝機能検査及び血液検査を行い、投与中は随伴症状に注意して、定期的に肝機能検査及び血液検査を行うなど観察を十分に行う必要があります。

副作用に加えて服用期間も長期になる事が多く、あまり処方される事がないように思います。

よって薬価改定でネイリンカプセルが安くなる事を期待します。

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