【パリンジック皮下注】フェニルケトン尿症(PKU)の治療薬まとめ

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昨年(2023年)遺伝性疾患である、フェニルケトン尿症:PKU(指定難病)の新規治療薬パリンジック皮下注が発売されました。

どの規格もかなり高額なので、処方箋が来たらちょっと怖いですね。

商品名:パリンジック皮下注

一般名:ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)

効能効果:フェニルケトン尿症

薬価(1筒)2.5mg 6万1606円/10mg 6万4155円/20mg 6万5468円

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フェニルケトン尿症とは?

フェニルケトン尿症とは、体内で必須アミノ酸のフェニルアラニン(Phe)チロシンに変えるフェニルアラニン水酸化酵素の働きが弱いため、フェニルアラニンが蓄積してチロシンが不足する遺伝的な病気です。

発症率は、出生約7万人当たり1人、国内の推定患者数は約500人とされています。

     フェニルアラニン水酸化酵素
(フェニルアラニン↑)  ⇒✖  (チロシン↓)

フェニルアラニンが蓄積すると認知障害や行動障害などが起こり精神発達障害の原因となり、ホルモンやメラニン色素の原料であるチロシンが減少すると、毛や皮膚の色が薄くなります。

よって、フェニルケトン尿症を治療しなければ、知能指数:IQ(Intelligence Quotient)を含んだ神経認知への影響をもたらす可能性があります。

新生児や乳児期の精神発達遅滞だけでなく、成人においても様々な精神疾患の原因となります。

フェニルケトン尿症.netのサイトが詳しくてわかりやすいです。

フェニルケトン尿症(PKU).net
フェニルケトン尿症(PKU)について、患者さんとそのご家族の方にわかりやすくご紹介します。

治療方法

既存のPKU治療方法としては食事療法があります。

豆やナッツ類、乳製品、卵などに豊富に含まれるタンパク質を制限する事で、フェニルアラニン(Phe)の摂取を抑えます。

一方で不足する他のアミノ酸については、治療用特殊ミルク(フェニルアラニン除去ミルク)で補います。

補助薬としてビオプテン(一般名:塩酸サプロプテリン)⇒高Phe血症における血清Phe値を是正する医療用医薬品がありますが、適応はBH4に関連した高Phe血症に限定されています。

パリンジック皮下注とは?

Palynziqの名称由来 

有効成分(PAL)+作用機序(YNZ)+未治療の影響(IQ)に由来

  1. 有効成分:フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)
  2. PALは血中フェニルアラニンの分解酵素(enzyme:YNZ)
  3. PKUは未治療の場合の認知機能や(知能指数:IQ)などへの影響

※作用機序:フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は、フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)が欠損したPKU患者で高値となるフェニルアラニンを代謝して血中濃度を低下させる。

用法用量(成人)
開始用量:週1回 2.5mg(段階的に増量)
維持用量:1日1回 20mg(効果不十分な場合40mg又は60mgに段階的に増量できる)
最大用量:60mg(患者の状態により適宜増減)

主な副作用は?

維持用量に達するまでの期間においては、注射部位反応(90%)、関節痛(79%)、補体因子C3低下(75%)、補体因子C4低下(66%)、過敏症反応(65%)

維持用量に達した後の期間では、補体因子C3低下(81%)、関節痛(67%)、注射部位反応(65%)、低Phe血症(63%)、過敏症反応(61%)

重大な副作用として、アナフィラキシー(5.4%)、血清病(2.4%)があります。

投薬時の確認事項

  • 増量時は、原則の投与期間が経過しているかを確認
  • 代表的な副作用である、注射部位の反応や関節痛の確認
  • 血中Phe濃度のコントロールが重要⇒血中Phe検査値の確認
管理目標値 妊婦を含む全年齢で、2~6mg/dL(120~360µmol/L)
本人が気づいていない自覚症状(集中できない、気持ちの落ち込み、ぼんやりする、混乱や不安感など)が日常生活の聞き取りによってわかる事もあります。

参考:パリンジック皮下注 医薬品インタビューフォーム、フェニルケトン尿症.net

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