OIC治療薬のスインプロイクが処方されました(OICとは?)

スインプロイク 薬の勉強
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新しい在宅の患者さんで、オキシコンチン錠とオキノーム散による疼痛コントロールをされている方の便秘の副作用がひどく、今回初めてシオノギ製薬のスインプロイクが処方されました。

スインプロイク(一般名:ナルデメジントシル酸塩錠)

まずはスインプロイクの名称の由来について、インタビューフォームより調べてみました。

洋名 Symproic

名称の由来
Control Symptoms of OIC

がどこからかやってきてスインプロイクになったみたいです。

スインプロイクは適応が便秘症状でもOICに限定されています。

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OICとは?

OICとは、オピオイド誘発性便秘症(opioid-induced constipation)の略になります。

2016年にRome委員会によりOICの診断基準として以下の定義が発表されました。

OICの定義:オピオイド治療開始時、排便習慣やパターンに以下の変化が現れる

  • 排便頻度の低下↓
  • いきみ or より強いいきみを伴う
  • 残便感
  • 排便習慣に苦痛を感じる

OIC治療薬の種類は?

OIC治療薬

分類 大腸刺激性下剤 緩下剤 経口末梢性μオピオイド
受容体拮抗薬
一般名 センノシド,
ピコスルファート
など
酸化マグネシウム
など
ナルデメジントシル酸塩錠

厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課,医療用麻薬適正使用ガイダンス, 平成29年 p.50-53

この患者さんでは今まで、緩下剤(マグミット)と大腸刺激性下剤(センノシド、ピコスファート)で様子を見ていましたが一向に改善しなかったため、今回はじめてスインプロイクが処方されました。

スインプロイクは、末梢性 µオピオイド受容体拮抗薬で、1日1回0.2mg(1錠)投与です。

この患者さんのオピオイド鎮痛薬使用量はかなり多くなっているのですが、スインプロイクはオピオイド投与量にかかわらずOICを改善するとされています。(国内第Ⅲ相がん患者対象検証試験)

鎮痛効果は弱まらないのか?

スインプロイク

出典:シオノギ製薬

オピオイド鎮痛薬の多くは、中枢のµオピオイド受容体を介して鎮痛効果が発現されます。

スインプロイクも同じく、µオピオイド受容体拮抗薬との事なので、鎮痛効果も弱まってしまうのでは?と考えました。

しかしスインプロイクは中枢でのオピオイド鎮痛薬の作用を阻害しにくいようにデザインされています。

具体的には、モルヒナン骨格に側鎖を付加し分子量と分子表面の極性部分を増加させています。

これにより血液脳関門の透過性が低下して主に消化管のオピオイド受容体で働き、オピオイド鎮痛薬の鎮痛作用に影響する可能性は低くなります。

しかし慎重投与の(2)に以下のように記載があります。

(2)脳腫瘍(転移性を含む)等の血液脳関門が機能していない又は機能不全が疑われる患者[オピオイド離脱症候群(「重要な基本的注意」の項参照)又はオピオイドの鎮痛作用の減弱を起こすおそれがある。]

血液脳関門が機能していない場合はやはりオピオイド鎮痛薬の鎮痛効果は弱くなる様です。

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