血液検査で白血球が少なかったのですが薬(メルカゾール)は関係ありますか?

薬の勉強

患者さんから「健康診断の血液検査で白血球が少なかったのですが,いま服用している薬は関係ありますか?」との質問がありました。

白血球(WBC)は、外部からのウイルスや細菌、花粉や化学物質などアレルギーの原因となる物質、また癌などの悪性腫瘍や外傷による炎症に対して体を守るためにはたらく血液細胞です。

白血球(WBC)は5種類に分類され、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)・リンパ球・単球があります。白血球(WBC)の一種である顆粒球の減少は再生不良貧血や急性白血病、ウイルス感染症、薬剤による場合もあります。

白血球数(WBC:white blood cell)は基準値が男性は3900~9800/㎕、女性は3500~9100/㎕です。患者さんは3300/㎕で基準より少し低い程度です、聞くと「無理をすると風邪を引きやすく疲れやすい」との事です。

関係ありませんが私も長距離ランニング後に風邪を引きやすいのですが、WBCリンパ球の1種であるNK細胞の活性が減少するそうです。激しい運動やストレスでもWBCは減少するようです。

Nikkei WOMAN On lineより引用

患者さんはメルカゾール(チアマゾール)という甲状腺機能亢進症の薬を服用しています。甲状腺機能亢進症が起こる病気は色々とありますが、医師からは自己免疫疾患のバセドウ病だといわれている様です。

白血球が減少する症状で、特に好中球(WBCでの割合が多く細菌等の捕食、殺菌に働く)が減少した場合を※無顆粒球症と呼びます。そして無顆粒球症の原因で最も多いのは薬剤性で、メルカゾールは初回の投薬時の服薬指導で必ず以下の内容が記載された指導箋をお渡しするようになっています。

※白血球系減少はWBC3000/㎕以下のとき注意するがあります。好中球が1500/㎕以下を好中球減少、好中球数が500/㎕以下になった状態を無顆粒球症と定義する

無顆粒球症は骨髄の造血機能障害でなく、薬剤がハプテン(不完全抗原)となって好中球と結合して末梢で白血球が破壊されて起きる薬物アレルギー性の無顆粒球症があります。同じ抗甲状腺薬のチウラジール、プロパジール(プロピルチオウラシル)などでも副作用として起きる可能性があります。

メルカゾール服用中の患者さんは、指導箋からこの薬剤で無顆粒球症が起きる事は知っていると勝手に思い込んでいたのですが、無顆粒球症が白血球(WBC)と関係があるとは思っていなかったとの事です。

服薬指導では、無顆粒球症でおきる感冒様症状(咽頭痛、発熱等)についての説明が中心で、「なぜ無顆粒球症が起きるのかは説明を受けなかったので気にしていなかった、指導箋も小さい用紙で小さい字なので読んでいなかった」との事でした。

【警告】
1.重篤な無顆粒球症が主に投与開始後2ヶ月以内に発現し、死亡に至った症例も報告されている。少なくとも投与開始後2ヶ月間は、原則として2週に1回、それ以降も定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施し、顆粒球の減少傾向等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、一度投与を中止して投与を再開する場合にも同様に注意すること(「重大な副作用」の項参照)。
2.本剤投与に先立ち、無顆粒球症等の副作用が発現する場合があること及びこの検査が必要であることを患者に説明するとともに、下記について患者を指導すること。無顆粒球症の症状(咽頭痛、発熱等)があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡すること。少なくとも投与開始後2ヶ月間は原則として2週に1回、定期的な血液検査を行う必要があるので、通院すること。

投与開始後の2ヶ月間は無顆粒球症が発現しやすいため2週間に1回は医師も気をつけて血液検査をするようですが、その後は定期的な血液検査になります。今回の健康診断によるWBCの減少は基準を少しだけ下回っていただけですが、あらためて健康診断の結果と白血球分画を含めた血液検査をかかりつけの医師にしてもらうようにお伝えしました。

今回のようにWBC減少を起こす薬剤は、抗甲状腺薬、消炎鎮痛薬や抗生物質だけでなく骨髄抑制を起こす抗がん剤や、てんかんで使用する抗けいれん薬、抗血小板薬、抗潰瘍薬、降圧薬、そして比較的安全だと考えられている市販薬など様々な薬剤で起こる可能性があります。

好中球は造血薬である、G-CSF製剤(顆粒球コロニー形成刺激因子製剤)で産生を促進する事ができます。薬剤としてはグラン(フィルグラスチム)、ノイトロジン(レノグラスチム)、ノイアップ(ナルトグラスチム)などの製剤があります。適応症は薬剤により異なりますが、癌の化学療法やHIV感染症などによる好中球減少症に使用されます。

白血球減少症治療薬としては、ロイコン(アデニン)、ハイチオール、エコラン(L-システイン)、セファランチンなどがあります。適応症は薬剤により異なりますが、主に放射線障害や薬物による白血球減少症です。

白血球(WBC)は日により変動があるため、基準値よりも少し低い状態ではそれほど心配はいりませんが、出来るだけ普段からストレスをためずしっかりと睡眠をとり、適度な運動、バランスのとれた食事をとり免疫力が低下しないように気をつけましょう。

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