エリスロシンはエリスロマイシンの先発医薬品ではないので注意

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エリスロシン200mgの処方があったので(後)エリスロマイシン錠200mg「サワイ」を出そうとしたのですが、先輩にエリスロマイシン錠200mg「サワイ」はエリスロシンの後発ではないですよと教えて頂きました。

保険薬辞典(平成30年4月版p469・じほう社)で調べたところ、同じエリスロマイシン製剤ではありますが、確かに別の区分になっていました。

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①エリスロマイシン錠⇒後)エリスロマイシン錠200mg「サワイ」(沢井)

■薬効薬理
グラム陽性菌、グラム陰性球菌、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ、クラミジアに対して強く作用し、作用は静菌的であるが、高濃度では殺菌的に作用する場合がある。
作用機作はタンパク質合成阻害であり、細菌の70S系リボソームの50Sサブユニットに結合し作用する。

②エリスロマイシンステアリン酸塩錠⇒エリスロシン錠200mg(マイランEPD)

■薬効薬理
抗菌作用(1)エリスロマイシンステアリン酸塩は体内で解離して、エリスロマイシンとして作用する。エリスロマイシンは主としてブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌等のグラム陽性球菌に強い抗菌力を発揮するほか,グラム陰性球菌、一部のグラム陰性桿菌、梅毒トレポネーマ及び肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)にも作用を示す。(2)抗菌作用は細菌により静菌的ないし殺菌的である。
作用機序は細菌の蛋白合成阻害で、70S系のリボソームの50Sサブユニットと結合することによる。

エリスロシン、エリスロマイシン両者の違いは?

適応菌種は①エリスロマイシン錠の方が赤痢菌、赤痢アメーバ、ガス壊疽菌群などにもあるので適応が広い様です。

エリスロマイシンは酸に対して不安定なので、食後の胃酸分泌や胃内滞留時間が増えると酸の影響を受けて分解されやすくなるので腸溶性フィルムコーティングされることで食後の服用も可能となっています。

一方、エリスロシンはインタビューフォームによると、製品の特徴及び有用性としてエリスロマイシンの塩及びエステル体であるエリスロマイシンステアリン酸塩と※エリスロマイシンエチルコハク酸エステルはエリスロマイシン塩基となることによりその抗菌活性を発揮し、塩並びにエステル体そのものは抗菌活性が弱いと考えられている事から消化管で安定化を目的としてステアリン酸塩、エチルコハク酸エステルにより修飾されプロドラックとされています。

※エリスロマイシンエチルコハク酸エステルはエリスロシンW顆粒20%、エリスロシンDS10%、エリスロシンDSW20%(マイランEPD)が製剤としてあります。

他の特徴として
・エリスロマイシンは他のマクロライド剤に比べ強い抗菌力を示す。
・多形核白血球中へ高濃度に移行し、感染部位へ優れた移行性を示す。
・呼吸器感染症の主要起炎菌に、強い抗菌力を示す。
・患者の年齢や疾患に応じて、適切な剤型が選べる。 

用法・用量はどちらも通常、成人には1日800~1200mg(力価)を4~6回に分割経口投与で食事のタイミングの記載はなく、米国のPDRによれば、高い血中濃度が得られるのは空腹時か食直前に服薬することが推奨されています。

エリスロシンとエリスロマイシンの両者は薬局の判断で変更ができないので疑義紹介が必要となります。

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