この二つの薬剤の作用機序がわからなくなる事があります。
エフェドリンは、β刺激薬
テオフィリンは、キサンチン誘導体
どちらも気管支拡張薬として使われます、何となく語感が似ている気がするのです。
勤務先の薬局でエフェドリンが単剤で出る事はまずないので、両者を取り違える事はないのですが配合剤に含まれる成分を勘違いして疑義照会したことがありました。
フスコデとカフコデに注意
テオドール(テオフィリン)に副作用歴のある患者様に、フスコデが処方された時、構成成分に(メチルエフェドリン)が含まれているのですが、勘違いして疑義照会をかけてしまいました。
まず、患者さんの副作用歴に「テオドールにて薬疹」と記載がありました。
テオドールは喘息や気管支炎で使用されるテオフィリンです。
「そういえばカフコデやフスコデにも、気管支拡張薬のテオフィリン系が入っていたぞ」
(テオフィリン=エフェドリン) ⇒ 疑義紹介、といった流れで間違えました。
確かにフスコデとカフコデの両方にエフェドリンは含まれています。
しかし、キサンチン誘導体の一種であるジプロフィリンはカフコデにしか含まれていないのです。
フスコデ1錠中の有効成分
ジヒドロコデインリン酸塩 3mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 7mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 1.5mg
カフコデ1錠中の有効成分
ジプロフィリン 20mg
ジヒドロコデインリン酸塩 2.5mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 5mg
ジフェンヒドラミンサリチル酸塩 3mg
アセトアミノフェン 100mg
ブロモバレリル尿素 60mg
つまりカフコデであればジプロフィリンも含まれているので、キサンチン誘導体として疑義照会しても問題はなかったのです。
医師は「フスコデの気管支拡張薬とは成分が異なるから大丈夫かと思います、今回はそのままでお願いします」と、やさしく回答いただきました。
誠に申し訳ございませんでした。
3種類の気管支拡張薬がある
気管支拡張薬には3つの分類があります
①β2刺激薬 気管支喘息の気管支拡張作用で第一選択薬
②テオフィリン薬 抗炎症作用のある気管支拡張薬(テオフィリンには抗炎症作用もある)
③抗コリン薬 COPDで第一選択薬
各々の作用機序を確認してみます
①β2刺激薬
気管支のカテコラミンβ2を刺激⇒Gs⇒アデニル酸シクラーゼ⇒cAMP↑⇒cAMP依存性Aキナーゼ⇒ⓒ活性化⇒蛋白リン酸化⇒気管支拡張
②テオフィリン薬
ホスホジエステラーゼ阻害⇒cAMP↑⇒cAMP依存性Aキナーゼ⇒ⓒ活性化⇒蛋白リン酸化⇒気管支拡張
③抗コリン薬(副交感神経遮断)
アセチルコリンが気道平滑筋のM3受容体に作用すると収縮するため、抗コリン薬でM3受容体を阻害する⇒気管支拡張
※①と②は出発地点は異なりますがcAMP↑からの流れは同じです。
③抗コリン薬は作用機序が異なります。β2刺激よりも気管支拡張作用も弱く、効果発現も遅いのですが、COPDの気道収縮が迷走神経遊離のAchで生じるのでCOPDの第一選択薬になります。
エフェドリンは覚醒剤原料(メタンフェタミンに似ている)
エフェドリンに関して
- エフェドリンは、漢方薬に含まれる生薬の麻黄の成分です。
- 長井長義が単離した事は、大学の授業で幾度となく習ったことかと思います。
- プソイドエフェドリン⇒ディレグラに含まれる成分でエフェドリンのエナンチオマー(鏡像異性体)
- メチルエフェドリン含有量が10%を超えて配合されると覚醒剤原料になります。
テオフィリンは茶葉の苦味成分
テオフィリンに関して
- テオフィリンは茶葉の苦味成分の一種だそうです。
- カフェインやテオブロミンと同じくキサンチン誘導体に分類されます。
- 紅茶にもTeao(ティオ)があるので、ティオを飲むたびに気管支拡張、抗炎症作用があると思うと記憶に残るかもしれません。
出典:アサヒ飲料
まとめ
テオドール(テオフィリン)に副作用歴のある人は、カフコデに注意してください。