2018年11月に発売された、緑内障・高眼圧症に使用されるエイベリス点眼液0.002%について調べてみました。
エイベリス(一般名:オミデネパグ イソプロピル)は、参天製薬と宇部興産が開発した緑内障・高眼圧症の点眼液になります。
PG関連薬で特徴的な副作用であるPAP (Prostaglandin-associated periorbitopathy)が少ないと言われています。
特に女性であれば睫毛は伸びた方が嬉しいかもしれませんが、目の周りの黒ずみやくぼみ等はかなり気になる所だと思いますのでエイベリスを使用する理由になるではないでしょうか。
しかし充血や炎症を起こしやすいとも言われているので、効果と副作用を見ながら使用する患者さんを選びそうな薬剤かとも思われます。
出典:参天製薬株式会社
プロスタグランジン系の緑内障目薬であれば【~プロスト】が一般名の後ろに来そうなものですが、選択的EP2受容体作動薬であるエイベリスは【オミデネパグ イソプロピル】と全く異なる名称となっております。
一般名が覚えにくい方は、オミデネパグという種類の犬パグを想像してもらえれば良いのではないしょうか?
「尾見てね!パグ」という、語呂でも覚えやすいかと思います。
パグの名称由来はラテン語のパグナス(握りこぶし)や、中国語の覇歌(パークー)などから来ていると言われています。(wikipedia調べ)
名称由来・効能効果
まずエイベリス点眼液の名称由来を調べてみました。
「ベッラ」がイタリア語で「美しい」を意味するそうなので、「美しい目」が語源になっているようです。
そういえばジローラモさんがテレビでよく女性タレントさんに「ベッラ!」と言っていたような気がします…。
効能効果:緑内障、高眼圧症
用法用量:1回1滴、1日1回点眼
効能効果は緑内障と高眼圧症になります。
1日1回だけでなく、1回1滴まで記載されているので忘れずに服薬指導で伝えるようにしましょう。
作用機序
緑内障診療ガイドラインで第一選択薬として使用されることが多いプロスタグランジン関連薬の「FP受容体作動薬」(ラタノプロスト等)に、新たに「選択的EP2受容体作動薬」が加わりました。
エイベリスは世界初のEP2受容体に作動する薬剤であり、緑内障点眼薬として新しい作用機序を持っています。
眼の平滑筋に存在するEP2受容体は(※プロスタノイド受容体の一種)を刺激する事で平滑筋が弛緩され、主経路(線維柱帯流出路)と、副経路(ぶどう膜強膜流出路)の両方を介した眼房水の流出が促進するとされています。
- 線維柱帯 流出路(主経路 約90%)
- ぶどう膜 強膜 流出路(副経路 約10%)
※プロスタノイド受容体には、DP1、DP2、EP1、EP2、EP3、EP4、FP及びIP受容体が存在するそうですが、エイベリスは特にEP2受容体に対する親和性が高く選択的に結合することが確認されています。
エイベリスの禁忌に注意
禁忌には、手術歴と併用禁忌の両方が存在するので、エイベリスの処方箋を受け付けた時には、患者さんからの聞き取りをしっかりとしたいと思います。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
①無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者[嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下及び視力障害を起こすおそれがある
②タフルプロストを投与中の患者
③本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
眼内レンズ挿入眼
①の無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者に関しては、患者さんに白内障の手術をした事がないか聞き取りや問診等で確認します。
閉塞隅角緑内障の患者さんは、白内障の手術により水晶体をレンズに置き換える事で隅角に広がりが出て眼圧が低下し急性発作が起きにくくなると言われています。
しかしインタビューフォームによると、国内臨床試験でエイベリスを使用した眼内レンズ挿入眼患者において黄斑浮腫が発現する可能性が高い(発現割合26.9%(14/52例))事がわかりました。
エイベリスが処方される患者さんには、白内障手術歴(人工レンズ置き換え)がないか意識するようにしましょう。
タフルプロスト
②タプロス(タフルプロスト)との禁忌にも注意が必要です。
タプロスは同じくプロスタグランジン関連薬ですが、FP受容体作動薬と呼ばれています。
転院した場合などは、以前の先生が処方した緑内障の点眼薬をそのまま使用している場合などが考えられます。
新しくエイベリスが処方されると、患者さんが誤って一緒に使用する事なども想定しておく必要がありますね。
出典:参天製薬株式会社
またタプコムも(タフルプロスト+チモロール)を含んでいるので同様に注意が必要です。
出典:参天製薬株式会社
インタビューフォームによる解説では、海外の臨床試験で高濃度(0.003%、0.01%、0.03%)のオミデネパグ イソプロピル点眼液をタフルプロストと併用した場合に、投与中止を要する中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められたとされています。
コメント