重症筋無力症の治療薬メスチノン錠(ピリドスチグミン)について

薬の勉強

メスチノン錠(ピリドスチグミン臭化物)60mgが処方された患者様がいらっしゃったので調べてみました。

ピリドスチグミン臭化物という名前からも、末梢性コリンエステラーゼ阻害薬の一種になります。アセチルコリンの作用を増強する事で筋肉の収縮を助ける薬です。

メスチノン錠はアルミヒートのSP(Strip Package)包装に入っていますが、一包化等で鑑査する場合は肌色(添付文書はだいだい色と記載)糖衣錠なので確認しやすくて助かります。

効能効果:重症筋無力症(Myasthenia gravis:MG)

用法用量:通常成人1日3錠を1日3回に分けて経口投与
(医師の監督下に症状に応じて、適宜用量や服用回数を増減できる)

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重症筋無力症とは?

重症筋無力症は、比較的女性に多いとされている自己免疫疾患の一種です。

神経筋接合部の筋肉側に存在するアセチルコリン受容体が自己抗体により破壊されることで起こると言われています。

これにより神経から筋肉への信号が伝わりにくくなり、手足の力が入りにくい、疲れやすい、眼瞼下垂(まぶたがさがる)、嚥下障害(のみこみにくい)、構音障害(発音ができない)などの症状があります。

クリーゼとは?

クリーゼ(Krise)とはドイツ語で「危機」を意味します。

英語では(crisis)ですが、受験生の時に覚えた英単語ターゲットに載っていた語呂「暗い死す=危機」というのを未だに思い出します。

ここで言うクリーゼとは症状が急激に増悪する事で危機的な状態であるという事を指します。よって様々な病態でクリーゼという言葉がを用いられます。

ここでは重症筋無力症患者において起こる症状の重篤かつ急速に悪化する状態(クリーゼ)である筋無力症性クリーゼ、コリン作動性クリーゼを見てみます。

  1. 筋無力性のクリーゼ:コリンエステラーゼ阻害薬の不足
    (症状:呼吸困難、唾液排出困難、チアノーゼ、全身の脱力等)
  2. コリン作動性クリーゼ:コリンエステラーゼ阻害薬の過剰
    (症状:腹痛、下痢、発汗、流涎、縮瞳、線維性攣縮、徐脈等)

上記の判別方法については添付文書にも記載があります。

(1) 筋無力性クリーゼ

エドロホニウム塩化物10mgを小注射器にとり、まず2mgを静注し、約1分前後で過敏反応がみられない場合に、残りの8mgを投与する。これにより筋力の改善が認められれば、筋無力性クリーゼであるので、メスチノンを増量すべきである。

(2) コリン作動性クリーゼ

エドロホニウム塩化物投与後に症状悪化がみられればコリン作動性クリーゼであるので、直ちに投与を中止し、アトロピン硫酸塩水和物1〜2mgを静注する。必要に応じて陽圧人工呼吸、気管切開等により気道を確保する。

添付文書より引用

治療法について

重症筋無力症の治療方法には、対症療法と免疫療法があります。

メスチノン錠は、コリンエステラーゼ阻害薬の一種なので対処療法になります。

ガイドラインの成人期発症のMG治療各論によると、抗コリンエステラーゼはエビデンスレベルの高い報告はありませんが、病態を問わずMG治療の第一選択薬とされています。

中でもメスチノンは作用時間も短く(半減期約3.3h)使いやすいため少量から開始して症状を見ながら漸増するとされています。

抗コリンエステラーゼは筋力の低下を改善するが、大量長期投与では効果が減弱する。またシナプス後膜の破壊や脱神経を生じる為に最低用量を休薬期間を交えながら使用します。漫然と長期に使用する事は控える事とされています。

参考:添付文書・重症筋無力症診療ガイドライン2014

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