ゼラチンアレルギーの患者に注意すべき医薬品は?

薬の勉強

初めて投薬する患者さんの問診に、ゼラチンアレルギーの記載がありました。

今まで牛乳・卵・カゼインなどの患者さんに遭遇する事は多々ありましたが、実際にゼラチンアレルギーの患者さんへの投薬は初めてでした。

ゼラチンについての知識は、医薬品ではカプセルについて気を付ける事、そしてお菓子作りで使用する材料であるといった程度の理解だったので調べてみました。

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ゼラチンとは?

ゼラチン【gelatine】の語源は、ラテン語の 【gelatus】(堅い・凍った)から来ていると言われています。

同様な語源を持つ【gel】(ゲル、膠化体)からも分かるように、ゼラチンはコラーゲンの螺旋構造に熱を加える事で分解されて水溶性タンパク質となる事で「ゾル⇔ゲル」化する特徴を持っています。

ゼラチンの原料であるコラーゲンには、牛・豚・魚などのタンパク質が利用されています。

同じようなゼリー状に固める用途で使用される事がある、ゲル化剤の多糖類とは異なる扱いになります。

  • ゼラチン(牛・豚・魚などのタンパク質)
  • 寒天・カラギーナン(テングサ等の海藻)ペクチン(リンゴ等の皮)など多糖類

料理やデザートで使用される際には、口どけや食感に合わせて使い分けているみたいです。

この患者さんは牛乳を普段から飲んでいるという事なので原料について(牛)は問題ないと考えられましたが、ゼラチンアレルギー体質の方は、原料である動物種が牛・豚・魚のいずれのゼラチンであったとしても抗体反応する可能性があるとの事なので原料に関わらずゼラチンの表記には注意する必要があります。

医薬品としては主にカプセルの基材として使用されるので、ゼラチンアレルギーと言えばカプセルを想像する方が多いかと思います。

ゼラチンアレルギーについて

ゼラチンに対してアレルギーの感作が起こる場合、経口摂取を原因とする可能性は低いとされています。

ゼラチンアレルギーの患者さんの多くは、子供の頃に受けた3種混合ワクチンの接種でゼラチンに感作されて、その後惹起してゼラチンアレルギーを起こした可能性が指摘されています。

これらの患者さんでも、多くの場合はゼラチンを経口摂取したとしても口腔内、胃や腸で消化酵素による分解、吸収が行われる事で、ゼラチンの抗原性が失われてアレルギーを起こす可能性は少なくなります。

しかし分解前のゼラチンに接触する可能性の高い、唇や口腔内のかゆみ、発赤など、稀にアナフィラキシーショックを起こす可能性も考えられるため注意が必要です。

処方された医薬品の添付文書等で、添加物を一つ一つ確認して投薬する必要性は避けることが出来ません。

参考文献:株式会社ニッピ(ゼラチンアレルギー)

医薬品でゼラチンが使用されているもの

医薬品で使用されているゼラチンにはカプセルだけでなく、錠剤、トローチ、漢方薬、湿布、坐薬等にも使用されていると言われています。

各々どのような薬品に含まれているのか、それぞれの剤形で思いついたものを中心に独断と偏見で調べてみたいと思います。

カプセル

まずカプセルは、軟カプセルのエディロールカプセルの添付文書を見てみました。添加剤の項目にゼラチン、D-ソルビトール、カラメル、酸化チタンの記載がありました。

硬カプセルはヘルベッサーRカプセルの添付文書を見てみました。その他の添加物の項目にカプセル本体にゼラチン、ラウリル硫酸ナトリウム、ヘルベッサーRカプセル200mgには赤色3号を含有との記載がありました。

錠剤

錠剤は何となく光沢のある糖衣錠がゼラチンを含んでいるようなイメージだったので、スローケー600mgの添付文書を調べてみました。

添加物の欄に、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、アラビアゴム、ゼラチン、セトステアリルアルコール、タルク、白糖、カルナウバロウの記載がありました。

トローチ

トローチ剤は、トローチの代表格であるSPトローチ0.25mg「明治」の添付文書を見てみました。

添加物の欄に、白糖、D-マンニトール、ゼラチン、カルメロースナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、パラオキシ安息香酸メチル、カンゾウエキス、青色一号アルミニウムレーキ香料、アラビアガム、デキストリン、プロピレングリコール、緑茶末、l-メントール、エチルバニリン、バニリンの記載がありました。

漢方薬

漢方薬に含まれるゼラチンとして考えられる生薬は、阿膠(あきょう)と呼ばれるロバの膠(にかわ:語源「煮皮」)です。

補血や止血作用があるといわれており、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)や温経湯(うんけいとう)等に含まれています。

湿布

湿布はセルタッチパップの添付文書を見てみました。

添加物として、クロタミトン、ジイソプロパノールアミン、プロピレングリコール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、D−ソルビトール、エデト酸ナトリウム水和物、ゼラチン
ポリビニルアルコール(部分けん化物)、pH調整剤、その他2成分の記載がありました。

坐薬

坐薬としてはゼラチンアレルギー禁忌の記載がある、エスクレ坐剤( 抱水クロラール)の添付文書を見てみました。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
(1)本剤の成分(ゼラチン等)に対して過敏症の既往歴のある患者
[本剤のカプセルの主成分はゼラチンである。ワクチン類に安定剤として含まれるゼラチンに対し過敏症の患者に、本剤を投与したところ過敏症が発現したとの報告がある。また、本剤投与によりショック様症状を起こした患者の血中にゼラチン特異抗体を検出したとの報告がある。]

【効能・効果】
理学検査時における鎮静・催眠
静脈注射が困難なけいれん重積状態

【用法・用量】
抱水クロラールとして、通常小児では30~50mg/kgを標準とし、直腸内に挿入する。なお、年齢・症状・目的に応じ適宜増減する。総量1.5gを越えないようにする。

禁忌として記載のあるエスクレ坐剤は、肝初回効果通過を受けないためゼラチンのアレルギー反応が強く出る可能性が指摘されています。

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