漢方薬の甘草(カンゾウ)成分1日限度量5gの理解で大丈夫?

薬の勉強

以前、こむら返りの処方という事で長期間にわたり、1日1回寝る前で「芍薬甘草湯」が出ていた患者さんがいました。

「こむら返りがなかなか良くならない」との訴えがあったので、血液検査の結果を見せていただいたところ低カリウム血症(3.5mEq/L以下)の症状がある事がわかりました。

疑義紹介にて症状を伝えて中止してもらったところ、K値の改善とともに「こむら返り」だと思われていた偽アルドステロン症の症状も無くなりました。

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甘草(カンゾウ)の上限量は?

漢方薬に含まれる甘草(カンゾウ)の上限量は、平成28年4月1日をもって廃止された「昭和53年2月13日・薬発第一五八号・各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知」をもとに、1日限度量は甘草5g(グリチルリチン酸200mg)を目安にしていました。

偽アルドステロン症は、カンゾウの含有量が多いほど発生のリスクが高いと言われています。

甘草の使用量と偽アルドステロン症の頻度に関する文献的調査より引用

しかしこの時は1日1回の芍薬甘草湯に含まれる甘草量2gであっても、人によっては偽アルドステロン症の可能性がある事を目の当たりにしました。

偽アルドステロン症は、体表面積の小さい小柄な高齢女性で起こる可能性が高いので、「漢方薬だから安全」と安心して服用を続けている患者さんでは要注意です。

またK値の低下にカリウム製剤の処方で対応などする事で、原因がマスクされ発見が遅れる可能性にも注意が必要かと思われます。

よって「以前の上限量1日5g以下なので大丈夫だろう」という杓子定規な判断ではなく、1日の甘草量が1~2g程度であったとしても、服用後の体調の変化をしっかりと聞き取り患者さんの年齢や体格、血液検査のK値等から偽アルドステロン症の早期発見につなげる必要があります。

甘草の成分である配糖体のグリチルリチンは、腸内細菌に利用される事で吸収される配糖体であるため吸収量は個人差が大きく以前の上限量はあくまで目安として考えましょう。

偽アルドステロン症
低カリウム血症血圧の上昇浮腫やむくみ体重増加(Na・体液の貯留による)が代表的な症状(低カリウム血症では、さらにミオパチー、横紋筋融解症があらわれる事があるので筋肉痛や痙攣、脱力感、CK上昇などにも注意が必要です)

8割近い漢方薬に甘草(カンゾウ)が含まれている

多くの漢方薬には、1日量1g以上のカンゾウが含まれています。

よって甘草(カンゾウ)を含む漢方製剤が長期間にわたり重複している場合や、1日量として甘草量が5g/日を超す時など患者さんの年齢や体重、健康状態を踏まえて薬剤師として判断の上で疑義紹介を考える必要があります。

また漢方薬だけでなく、健胃薬のSM配合酸、つくしAM配合酸などにも甘草が含まれているので注意しましょう。

※芍薬甘草湯であれば、7.5g/日分3の処方で既に甘草の量が6gも含まれています。「添付文書では治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」の記載があります。

甘草(カンゾウ)2.5g以上を含有する品目は禁忌あり

調剤薬局でよく出ているメーカー品のツムラの漢方製剤では、カンゾウ2.5g以上を含有する品目は添付文書に禁忌として以下の記載があります。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. アルドステロン症の患者
  2. ミオパチーのある患者
  3. 低カリウム血症のある患者

また併用注意(併用に注意すること)は以下になります。

薬剤名等

  1. カンゾウ含有製剤
  2. グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤
  3. ループ系利尿剤 フロセミド(ラシックス)・エタクリン酸(エデクリル)
  4. チアジド系利尿剤 トリクロルメチアジド(フルイトラン)

浮腫、むくみで処方されることが多い利尿薬が併用されている場合は、甘草(カンゾウ)含有成分による低K血症を疑ってみましょう。

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