新患さん(成人)の併用薬にインチュニブとの記載がありました。
インチュニブは、小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の薬との記憶でしたが、2019年6月から適応拡大承認され成人にも処方できるようになっていました。
今までにインチュニブの処方箋を受け付けた事がなかったので、成人の場合について調べてみました。
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
AD/HD:AttentionDeficit/HyperactivityDisorder
名前のように注意欠陥、多動性を特徴として持っています。
遺伝的な要因があり、小児の1割程度にADHDの特徴がみられ、男児が女児の2倍多いと言われています。
ADHDは神経の発達に何らかの障害(前頭前皮質での神経伝達物質ノルアドレナリン等の調節異常)があり、それが原因として注意力が散漫であったり衝動的な行動をする事があります。
多くの場合、成人期にも症状が持ち越されます。
ADHDの治療薬
ADHDの治療薬として処方箋でよく目にするのは以下3種類でしょうか。
コンサータ(メチルフェニデート):DOA、NAd再取り込み阻害 中枢刺激薬
ストラテラ(アトモキセチン):Nad再取り込み阻害 非中枢刺激薬
インチュニブ(グアンファシン):α2A受容体を刺激 非中枢刺激薬
やはり効果的な面では、中枢刺激作用のあるコンサータが圧倒的に感じられるようです。
私の薬局ではビバンセカプセルは今のところ処方箋を見たことがありません。
インチュニブとは?
インチュニブ(グアンファシン塩酸塩)の適応症は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)です。
名称由来ですが、Intuitive(直観力のある)からきています。
一般名のグアンファシンと聞くと、去痰薬のグアイフェネシンを思い出してしまいます。
ベトナムの方の名前で多いグエンさんも思い出します…。
話がそれました。
グアンファシンはかつて、エスタリックという商品名で本態性高血圧の薬として販売されていました。
よってインタビューフォームでも、重大な副作用として※低血圧(20.5%)徐脈(14.9%)の記載があります。
※18歳未満の患者よりも、18歳以上の患者で特に高頻度に発現が認められた副作用
用法用量
18歳以上の患者の場合
- グアンファシンとして1日2㎎ を、1 日 1 回 経口投与 開始
- 1 週間以上の間隔をあけて1mg ずつ、1 日 4~6㎎の維持用量まで増量する
- 症状により適宜増減/1 日用量は 6mg を超えない事
作用機序
非中枢刺激薬であるインチュニブの作用機序は選択的α2Aアドレナリン受容体の作動です。
インチュニブが、前頭前皮質の錐体細胞後シナプスにあるα2Aアドレナリン受容体を刺激すると、cAMP産生が阻害されます。
すると、HCN(Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated channels)チャネルが閉じて、前頭前皮質のシグナル伝達が増強すると考えられています。(仮説)
参考:MSDマニュアル、塩野義製薬インチュニブインタビューフォーム
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