ドボネックス軟膏処方は、乾癬(かんせん)?疥癬(かいせん)?

江崎記念館 薬の勉強
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患者さんに皮膚科よりドボネックス軟膏の処方がありました。

患者さんは「先生は、かんせん?、かいせん??とか何か言ってました」との事。

語感が似たような名称ですが、どちらも皮膚科で見られることのある疾患名になります。

癬(せん) 意味:たむし、ひぜんなど皮膚病の一種

乾癬(かんせん)は皮膚科でよく聞かれる疾患名であるが、最近は疥癬(かいせん)も高齢者施設等で接触による集団感染する事もあります。

語感が似ている事もあって間違って覚えている人もいるようです。

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乾癬(かんせん)

乾癬には何種類かの分類がありますが、尋常(普通である事)という名前の様に8割程度の患者が尋常性乾癬だと言われています。

遺伝的素因により皮膚細胞が過剰に増殖し炎症が起こり、細菌やウイルス感染、ストレスといった外的な要因により悪化する免疫に関係した慢性皮膚疾患です。

尋常性乾癬の特徴として、赤く円形状で少し周囲よりも膨れ上がった紅斑や、白っぽい鱗屑(りんせつ)が見られます。

物理的な刺激を受けやすい部位で見られ刺激によって周囲に広がりを見せる事(ケブネル現象)があるので、かゆみに対して抗ヒスタミン薬の処方が追加される場合もあります。

乾癬治療は患者の状態に合わせて外用療法や光線療法そして全身療法が選ばれます。

ドボネックス軟膏

今回処方されているドボネックス軟膏は、活性型ビタミンD3製剤であるカルシポトリオールを1g中に50μg含有しています。

適応症は「尋常性乾癬」なので、乾癬(かんせん)での処方に間違いないかと思います。

ドボネックス(Dovonex)軟膏の名称由来
  • Vitamin DDとV
  • LEO Pharma A/S 社で商品名に伝統的に使用している接尾語(-nex)
DとV(-nex)⇒ DVnex ⇒ Dovonex

ドボネックス軟膏は、乾癬治療の基本的な薬剤であるステロイドと併用又は、ドボネックス軟膏単独でも使用されます。

使用禁止部位として顔や目のまわり等、そして患部以外には使用しないように注意して下さい。

ステロイド剤との混合指示がある場合

ビタミンD3製剤は酸性基剤中で失活する為、酸性度の高いステロイド外用薬(ステロイドは酸性状態で安定なのでpH5.0~7.0で調整されている)との混合は避ける必要があります。

ドボベット軟膏は、ビタミンD3製剤にステロイドが配合された薬剤になります。

疥癬(かいせん)

疥癬(かいせん)とは、皮膚の角質層に寄生するヒゼンダニ(疥癬虫:かいせんちゅう)による感染症で、診断はダーモスコープと呼ばれる顕微鏡で行われ、通常疥癬と角化型疥癬の2つの種類があります。

アレルギー反応による炎症性の皮疹やかゆみを伴い、症状がアトピー性皮膚炎と似ている為に誤ってステロイド薬を塗布する事で症状が悪化する可能性もあるので注意が必要です。

外用薬

第1選択薬

  • スミスリンローション5%(般:フェノトリン 推奨度A

出典:クラシエ薬品株式会社

有効成分フェノトリン(ピレスロイド系外用駆虫剤)は、医療用医薬品であるスミスリンローションでは、5%含まれている。

一般用医薬品のアタマジラミ駆除薬であるスミスリンLシャンプーには0.4%が含まれている。

第2 選択薬

  • クロタミトン(オイラックスクリーム)(推奨度C1
  • イオウ剤(推奨度C1
  • 安息香酸ベンジル

内服薬

  • イベルメクチン(ストロメクトール)(推奨度A)

出典:マルホ株式会社

参考文献:実地診療マニュアル イラスト&ビジュアル46「尋常性乾癬」、ドボネックス軟膏インタビューフォーム、疥癬診療ガイドライン(第3 版)

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