調剤薬局には無料で配達されてくる薬剤師向けの冊子でメジャーなもので、日経DI、クレデンシャル、ファーマトリビューンなどがあります。(他にもエクセレントファーマシーなど色々ある)
これだけでも、毎回きっちり読んでいればけっこう勉強になります。
しかし私は読んでもすぐに忘れてしまいます。
ファーマトリビューンはWEBメディアに…
この中でもファーマトリビューンは7月号からは、月刊誌からWEBメディアになってしまうんですが、その中に「実践!処方箋に記載された臨床検査地を読み解く」というコーナーがあります。
これに主人公の新米薬剤師(京極学)が、先輩薬剤師(薬師寺教子)に指導されながら成長していく、といったベタな設定の漫画が連載されているのです。
私がこのコーナーが大好きなのは、漫画形式で実際の投薬シーンをイメージしながら読みやすく、私の鈍い頭でも非常に理解しやすく噛み砕いて説明されているからです。
臨床検査値付き処方箋とは?
臨床検査値付きの処方箋は、2013年頃から京都大学医学部付属病院などの一部の国公立大学病院を中心に普及してきています。
しかし個人病院の門前薬局だと、面で受け付ける処方箋で稀に目にするくらいなので、そこまで意識することはまだ少ないかとも思います。
腎機能検査値で臨床検査値がナシ!
つい先月の2018年の5月号は「腎機能検査値で臨床検査値がナシ!(空欄)」の処方箋が来るという設定でした。
処方内容は以下の内容です。
- リクシアナ錠 60㎎ (一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)
- ビソプロロール錠 2.5mg
どちらも、1回1錠 朝食後 14日分
※リクシアナは、血管内で血液凝固に関与すると言われる、FⅩa(活性化血液凝固第X因子)を選択的かつ可逆的に直接阻害する1日1回投与の経口抗凝固剤
患者の訴えによると、健康診断で心房細動と言われて抗凝固薬と不整脈の薬が出ているみたいです。
京極学は叫びます。
「リクシアナ?体重と腎機能がわからないと用量が正しいかわかんないぞ!」
患者さんに聞くと体重は65kgくらいとの事。
そして肝心の腎機能の結果は、「検査したところなので次回」との事です。
京極学は悩みます…
体重60kg超だから、リクシアナ60mgでいいんじゃないかな(心の声)
※リクシアナ(エドキサバントシル酸塩水和物)としては次の用量を、1日1回経口投与する
・体重60kg超:60mg
※なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する
半年前の検査値を見ると、
- 身長 171cm
- 体重 66kg
- 体表面積 1.77㎡(Dubois式より)
- 血圧 140/89mmHg
- 脈拍 110bpm
と記載がありました。
日本腎臓病薬物療法学会のサイトよりeGFR・CCrの計算式
しかし、腎機能の記載はありませんでした。
そのまま薬を渡そうとする京極学
京極学は、
「このまま、渡しちゃおうかな…」
チラッと教子先輩をみると、薬師寺教子は
「それでいいの?それは患者さんのためになることなの?あなたは薬剤師の責任を果たしたと言えるのかな?」
京極学はあわてて疑義紹介をしに行くのでした…
疑義紹介すると、Drから
「検査値はこちらから連絡するから、それから服用するように患者さんには伝えてあるけど…」
と言われます。
しかし生まれ変わった京極学は
「私にも教えて下さい!責任を持ってお薬をお渡ししたいので」
と言って患者さんには、明日検査値を聞いてからお渡しする事にしました。
そして次の日にDrから連絡があり、CCrは(41ml/min)だったので、リクシアナは1日1回30mgと変更されました。
よかったよかった、一件落着です。
この漫画を読んで教子先輩の一言に「ガーン!!」となった人は少なくないのではないでしょうか?
忙しさのあまり、ただ「処方箋どおりに間違えないように出せばそれでいい」と日々を過ごしていませんか?
しかし「1人薬剤師(ワンオペ)で、1日40枚以上の外来患者をこなして、在宅の準備もある薬局ではとても無理だよ…」と反論したくなる気持ちもわかります。
そんな時は、経営者に言って人員を増やしてもらいましょう。
そして無理だったらその時は旅立つときが来たのかもしれません…。
おわり