「ドライアイでよく眼が渇くんで眼科を受診しました。今日処方された目薬は、なみだ目の点眼薬と聞いています。ドライアイなのに、涙を止めてしまっても大丈夫なんですか?」
患者さんからドライアイとの事で、以前はヒアレイン点眼液等を使用していたとの事でした。
今日の処方ではラクリミン点眼液です。
患者さんの言うようにドライアイなのに、涙を止めてしまっても大丈夫なんでしょうか?
ラクリミン(オキシプロカイン)点眼液とは?
名称由来:lacrimation(流涙)であるように流涙症(なみだ目)の点眼薬になります。
成分であるオキシブプロカインは、局所麻酔薬の一種です。
作用機序
結膜や角膜の知覚麻痺、三叉神経反射弓の一過性の遮断により涙液の分泌を抑制
効能効果:分泌性流涙症
用法用量:1日2~5回(1回1~2滴を点眼)
※角膜障害等の副作用を起こす事があるので、用法用量を厳守する
患者さんの訴えである【目の渇き】といった症状とは一見異なる処方のように思われますが、【なみだ目】はドライアイによって見られる症状の一つです。
ドライアイでは、眼の渇きといった乾燥感以外にも、異物感や眼精疲労、充血、掻痒感そして流涙といった様々な症状があります。(他にも霧視、羞明、眼重感、眼痛、開瞼困難、眼脂など)
そして患者さんの自覚症状と、医師の所見の間にも乖離が見られます。
今回の様に、ドライアイで患者さんの訴えが目の渇きであっても流涙症の目薬であるラクリミン点眼液が処方される事はよくあります。
またドライアイが原因である流涙症の場合であれば、人工涙液(ソフトサンティア、マイティア等)の使用により流涙が低減する事があります。
流涙症とは?
流涙症とは何らかの刺激によって過剰に流涙産生が増加したり、涙道閉塞(涙道の詰まり)によって涙があふれる状態です。
ラクリミンの適応症である分泌性流涙症とは、ドライアイやアレルギー性鼻炎や結膜炎等による刺激によって流涙が過剰に起きている状態をいいます。
涙液産生増加の一般的な原因
- 上気道感染症
- アレルギー性鼻炎・結膜炎
- ドライアイ(眼球表面の乾燥に反応して涙液が産生される反射)
- 睫毛乱生
一方で涙道閉塞型の流涙症は、加齢に伴う鼻涙管狭窄や涙嚢炎、眼瞼外反といった事が原因となり鼻涙管からの流涙の排泄が減少します。
よって点眼薬治療での改善は難しく外科的手術(涙管チューブ挿入術、涙嚢鼻腔吻合術など)を検討する必要があります。
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