リンヴォック錠(ウパダシチニブ)はタクロリムスと併用しない事

調剤事故・ヒヤリハット
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日本薬剤師会雑誌 2022/5 vol.74

勤務先などで日本薬剤師会に加入していると、会報誌の日本薬剤師会雑誌が毎月送られてくるかと思います。

私はこの雑誌の、薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業の、共有すべき事例をいつも興味深く読んでいます。

現場でおこるヒヤリハット事例は、薬剤に関する事だけでなく薬局業務の中でも様々な出来事があり大変勉強になります。

また普段の業務で接した事のない薬剤の勉強にもなるので読まずに廃棄していた方も、是非このコーナーだけでもご覧になってみてはいかがでしょうか?

今回の事例は3つあります。

まず一つ目は調剤交付時の患者名の間違いです。

事例1 調剤交付時の患者名の間違い

待合室の同姓の患者さんが間違って投薬台にやってきてしまい、そのまま違う方の薬を持って帰ってしまった。

待合室に患者さんが複数人いる場合は注意が必要です。

フルネームで呼んだとしても間違って投薬台に来られる場合があります。

高齢の患者さんの中には聞き返すのが悪いと思って、本当はよく聞こえていなくても聞こえているふりをされる事があります。

稀に同姓同名の方や変わった苗字等であっても家族間で間違う場合もあります、生年月日の確認は有効な手段です。

薬袋やお薬手帳の氏名を指差し確認して、視覚的にも患者さんに確認してもらいましょう。

・生年月日の確認
・印刷物等の氏名を指差し確認

事例2 フォシーガ錠の適応症

SGLT2阻害剤のフォシーガ(ダパグリフロジン)錠5mg処方であったが、糖尿病の既往歴がない為に疑義照会をしたところ慢性心不全の治療目的であることがわかりフォシーガ錠10mg処方へと変更になった。

新患さんや、初めての処方の場合は必ず患者さんに処方目的を聞くようにしたい所です。

「今日はどうされましたか?」でも良いのですが、稀に「どうして薬剤師にそんな事を言う必要があるのか?」、「医師に言ってるから大丈夫」といった感じで答えていただけない場合があります。

そういった場合は質問をする理由や、相手のメリットになる聞き方をしてみてはいかがでしょうか?

「薬の用量により適応症が異なりますので、念のために確認なのですが…」、「副作用が出やすい薬なので確認させていただきます」といった感じで聞くと大抵の患者さんは答えてくれます。

【フォシーガ錠 用法用量】
・糖尿病 1日1回 5㎎
(※効果不十分であれば10㎎
・慢性心不全、慢性腎臓病 1日1回10㎎

事例3 リンヴォック錠と併用しない薬

【服用中の薬剤】
・プログラフカプセル
・プレドニン錠
・メトトレキサート

関節リウマチの患者にリンヴッォク錠が新規で追加処方されたが、他の免疫抑制薬を服用中の為に疑義照会したところプログラフカプセルが削除となった。

リンヴッォク錠
名称由来:なし
効能効果:関節リウマチ、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎
作用機序
:ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

添付文書における警告や禁忌ではないが、7.用法及び用量に関連する注意の項目にタクロリムスとの併用はしないことの記載がある。

関節リウマチ患者において過去の治療では、メトトレキサートをはじめとする少なくとも 1 剤の抗リウマチ薬等による治療を試したうえでリンヴォック錠を使用する必要があります。

しかし追加となった場合には、過去の治療内容の確認を必ずしなければならない。

【リンヴォック錠と併用をしない薬】
・適応疾患の生物製剤
・他の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
・タクロリムス
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・ミゾリビン

7.用法及び用量に関連する注意
<効能共通>
7.1 免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので,本剤と適応疾患の生物製剤,他の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤,タクロリムス,シクロスポリン,アザチオプリン,ミゾリビン等のような免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないこと.本剤とこれらの薬剤との併用経験はない.[8.1 参照]

解説
7.1 本剤と適応疾患の生物製剤,他の経口 JAK 阻害剤,全身性の免疫抑制剤との併用経験はなく,併用時の安全性及び有効性についてエビデンスが確立されていないことから設定した.

引用:リンヴォック錠インタビューフォーム

参考:日本薬剤師会雑誌 2022/5 vol.74、アッヴィ合同会社リンヴォック錠

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