スローケー錠が販売中止になった事で困った話

薬の勉強
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ノバルティスファーマ社の徐放性カリウム剤のスローケー錠600mg(塩化カリウム錠)が販売中止となりました。出荷は2019年1 月末以降在庫が無くなり次第終了予定との事でした。

経過措置期間満了日が2020年3月末日だったので、在庫も暫くは大丈夫だろうと思っていたのですが想像以上に早く入手困難になってしまいました。

仕方がないので後発のケーサプライで代用する事にしたところ、スローケー販売中止の余波を受けてケーサプライも不足気味で入手困難となってしまいました。

よって他のカリウム製剤であるL-アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム)かグルコン酸カリウム(グルコンサンK)への変更を余儀なくされました。

【スローケー錠 600mg】販売中止のご案内より引用

以前の電解質の記事でも書かれてありましたが、経口カリウム製剤には、L-アスパラギン酸カリウム、グルコン酸カリウム、塩化カリウムの3種類があります。だんご3兄弟のように、カリウム3兄弟と呼ぶことにします。

経口カリウム製剤3種類

・アスパラカリウム錠(L-アスパラギン酸カリウム) 300mg(1.8mEq)
・グルコンサンK錠2.5(グルコン酸カリウム) 585mg (2.5mEq)
・スローケー錠(塩化カリウム徐放剤) 600mg(8mEq)

mgは質量(0.001g)です。

mEqは物質が完全に電離したと仮定した状態の電解質の量を表す単位です。

体液を正常な状態に保つには、浸透圧(細胞膜間の濃度の異なる2液間で、水が濃度の低い方から高い方へ移動する力)が関係してきます。

ナトリウムやカリウムなどの電解質では、mEqに注意

カリウム製剤間の処方変更があった場合は、mg換算ではなくmEq換算で考えます。

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アスパラカリウムには注意

ただしアスパラK(L-アスパラギン酸カリウム)だけは組織移行性が高く、体内利用性も良好なため他のカリウム製剤よりも上限が低く抑えられています。

(内服:1回0.3g~0.9gを1日3回 最高:1回3g=8.7mEq)

(2)薬効を裏付ける試験成績:
1)カリウムの細胞内移行の指標としてウサギの赤血球を用いた実験で,赤血球内へのカリウム移行量は,L-アスパラギン酸カリウムの方が塩化カリウムよりも多かった(in vitro,in vivo)1)。
2)体外循環で心臓手術を実施した際の血漿中,赤血球中のカリウム低下に対して,アスパラギン酸カリウム・マグネシウムでカリウム補給した場合,乳酸カリウムの時よりも良好の成績を示した(外国データ)2)。
3)カリウムの細胞内取り込みの指標として赤血球(ウサギ,ヒト)内への移行をみると,L-アスパラギン酸カリウムは塩化カリウムより良好である 1, 3)。

アスパラカリウムインタビューフォームより引用

まとめ

アスパラKに変更する時だけは添付文書上の上限を守って調整しながら投与する必要があります。

繰り返しになりますがアスパラKへの変更時は単純にmEq換算すると量が多すぎるので注意してくださいね。

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