SM配合酸は甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者に禁忌?

薬の勉強

処方箋を見ていた職場の同僚に「SM配合酸って生薬が入って何となく安全性が高そうやのに、添付文書を見たら禁忌の項目が結構多いですよね」と言われました。

同僚「甲状腺機能低下症副甲状腺機能亢進症とか気をつけないとダメですね」

私「うん、気を付けよう」

同僚「甲状腺機能低下症が禁忌やったら、チラーヂンとか併用薬にあったら疑義照会した方がいいですよね」

私「初回は念のためにした方がいいですよね、どっちも高カルシウム血症やったっけ?」

同僚「はい…」

といったやり取りがあったので、SM配合酸について調べてみる事にしました。

スポンサーリンク

SM配合酸とは?

まず名称の由来を見てみます。

名称の由来Sankyoが開発したMagen Mittel(ドイツ語で”胃薬”の意)

かつての三共株式会社の名残が薬品名に残っているんですね。

しかし今ではSM配合酸の所属は、アルフレッサファーマになっています。

次に成分表示を見てみます。

成人1回服用量(1.3g)中に次の成分を含有

・タカヂアスターゼ100mg
・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(日局)400mg
・炭酸水素ナトリウム(日局)300mg
・沈降炭酸カルシウム(日局)200mg
・チョウジ(丁子)末(日局)10mg
・ウイキョウ(茴香)末(日局)20mg
・ケイヒ(桂皮)末(日局)74.5mg
・ショウキョウ(生姜)末(日局)24.5mg
・サンショウ(山椒)末(日局)1mg
・オウレン(黄連)末(日局)50mg
・カンゾウ(甘草)末(日局)118mg

消化酵素やミネラルや生薬が中心です、確かにこの内容を見ていたら安全性が高そうな気がします。それでは禁忌の理由を見てみます。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2. 透析療法を受けている患者[長期投与によりアルミニウム脳症、アルミニウム骨症があらわれるおそれがある。]
3. ナトリウム摂取制限を必要とする患者(高ナトリウム血症、浮腫、妊娠中毒症等)[ナトリウムの貯留増加により症状が悪化するおそれがある。]
4. 高カルシウム血症の患者[血中カルシウム濃度が上昇し、症状が悪化するおそれがある。]
5. 甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者[血中カルシウム濃度の上昇により病態に悪影響を及ぼすおそれがある。]

それぞれに解説も記載があったので見てみます。
解説
1. 一般に薬剤による過敏症を起こした患者に再度投与すると重篤な過敏症を起こす可能性がある。
2. 透析患者のアルミニウム蓄積による中毒症状として、脳症や骨軟化症が知られている。メタケイ酸アルミン酸マグネシウム単味製剤ではないが、水酸化アルミニウム配合の制酸剤等のアルミニウム含有製剤には従来より【禁忌】の項に記載されている。
3. 本剤は、炭酸水素ナトリウムを含有することから、高ナトリウム血症、ナトリウム蓄積による浮腫、浮腫を有する妊娠中毒症などナトリウム摂取制限を必要とする患者の症状を悪化させるおそれがある。
4. 本剤は沈降炭酸カルシウムを含有する。沈降炭酸カルシウムは腸管内でリン酸イオンと結合し、不溶性のリン酸複合体を形成し、腸管からの吸収が抑制されるが、血中カルシウム濃度を上昇させる可能性もあり、症状が悪化するおそれもある。
5. 4.と同じ理由から病態に悪影響を及ぼすおそれがある。

3.に記載がある沈降炭酸カルシウムですが、医療用医薬品の沈降炭酸カルシウムの単剤の添付文書には禁忌として以下のように記載があります。

【 禁忌】( 次の患者には投与しないこと)
甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者
[症状を悪化させるおそれがある。]

しかしキャベジンにも沈降炭酸カルシウムが入っていますが、添付文書の禁忌にあたる「してはいけない事」には高カルシウム血症とは書かれていませんでした。

ただ甲状腺機能障害については相談する事となっています。

SM配合酸の禁忌には、高カルシウム血症が問題になると4.と5.に記載がありましたので、次に甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症について考えてみたいと思います。
まずは甲状腺から分泌されるホルモンをおさらいしてみましょう。

甲状腺機能低下症と副甲状腺機能亢進症

甲状腺から分泌されるホルモン

  • サイロキシン(T4)
  • トリヨードサイロニン(T3)
  • カルシトニン

甲状腺ホルモン(T4:サイロキシン、T3:トリヨードサイロニン)は、ヨウ素を材料として作られます。心拍数やエネルギーの燃焼、細胞の修復、熱産生、成長や消化活動など多くの生命活動と関係があります。

カルシトニンは、骨形成促進やカルシウム排泄促進に働きます。よって血中カルシウム濃度低下に働くホルモンといえます。

よって甲状腺機能低下症によりカルシトニン産生が抑制されると、血中カルシウム濃度が上昇して高カルシウム血症になりやすいと考えられます。

また副甲状腺は、副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone パラトルモン)を分泌します。パラトルモンは、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働きます。

よって副甲状腺機能亢進症であれば、パラトルモンの分泌が亢進して、血中のカルシウム濃度が増加して高カルシウム血症になりやすいと考えられます。

チラーヂン添付文書の併用注意

またチラーヂンの添付文書には、キレートによる併用注意として以下の薬剤の記載があります。

消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。

コレスチラミン、コレスチミド、鉄剤、アルミニウム含有制酸剤、炭酸カルシウム、炭酸ランタン水和物、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリチレンスルホン酸ナトリウム

同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。

参考:Levothyroxine  calciumで検索した結果:レボチロキシン+鉄剤、アルミニウム含有製剤、カルシウム製剤など[ドクターのための薬物相互作用とマネジメント(6)]

参考:何故沈降炭酸カルシウムは甲状腺機能低下症で禁忌なのか?

コメント

error: Content is protected !!