最近トルリシティ(一般名:デュラグルチド)を使うようになった2型糖尿病の患者さんが、トルリシティの事を「アテオス」と呼んでいます。
どうやら病院の方で医師から「この注射は、当てて押す(アテオス)だけだから簡単ですよ、アテオスって書いてるでしょ」と教えられたので「アテオス」と呼ぶようになったみたいです。
確かにアテオスも名称の一部(専用ペン型デバイス)なので間違いではないのですが、薬局ではトルリシティと呼んでいるので新鮮な感じがしました。
トルリシティアテオスとは?
トルリシティアテオス(デュラグルチド(遺伝子組換え)注射液)は、あの有名デザイナーであるスコット・アール・ジェフリーズさんがデザインした画期的な形状をした注射器でグッドデザイン賞の金賞を受賞しています。
適応は2 型糖尿病の薬剤で持続性GLP-1 受容体作動薬になります。
1週間に1 回(毎週同じ曜日で朝昼夜いつでも可)皮下注射する簡単操作なので、インクレチン関連薬の注射薬では比較的指導する機会が多いかと思います。
しかし内因性GLP-1はDPP-4によりすぐ分解される事で消失半減期が2~3分と短いため、デュラグルチドは8位のアラニンをグリシンに置換してDPP-4による分解を抑制している。
名称由来は?
名称由来は、トルリシティ(True Simplicity)アテオス(あてて押す)から来ています。
つまり「本当に簡単、当てて押す」というネーミングセンス抜群の名前なのです。
私はトルリシティアテオスの名称由来を勝手に「糖尿病よアディオス!」みたいな感じで思っていたのですが、患者さんがすぐに覚える事のできるネーミングこそ大事なのだと感心致しました。
デバイスの使い方
トルリシティアテオスは1回使いきりのデバイスであるため、多くのインスリン製剤と違い針の取り付けや空打ちが不要(オートインジェクター)です。
注射部位は、お腹、太もも、上腕部のいずれかで、注射部位を消毒してから毎回打つ場所を変えてください。
- 先端のキャップをはずす
- 底面を皮膚に垂直にあてて、ロック解除
- 注入ボタンを押す(カチッという音が2回すると注入が終わり針が戻った合図です)
・冷蔵庫で保管(2~8℃)凍結させない事、室温(30℃以下)の場合は14日間まで保管可能
・投与を忘れた場合は次の投与日まで3日(72時間)以上ある場合すぐに投与します。次の投与日まで3日(72時間)未満の場合忘れた分をとばして、次の定めた曜日に投与する。
詳しい使い方は動画トルリシティ皮下注0.75mgアテオスの使い方をご覧ください。
あとよく患者さんに「捨てるときは薬局に持ってきてもいいの?」と聞かれます。
廃棄方法は指導箋に「主治医の指示に従う」と記載されていますが、通常であれば病院や薬局(回収していない所もあります)でも回収してます。
うちの薬局でもバイオハザードマークの付いた頑丈なプラケースに入れてお金を払って産業廃棄物として処理しています…。
しかし在宅医療廃棄物は、法律上一般廃棄物であるので各市町村の廃棄方法に従い一般家庭用のごみとして廃棄する事も可能です。
収集する人が怪我をしないように堅牢な容器に入れて処分して下さいね。
出典、参考文献:日本イーライリリー株式会社、日本糖尿病協会 廃棄物適正処理Q&A
今日は第106回薬剤師国家試験の初日ですね、コロナ禍での受験でかなり大変だと思いますが普段の実力を出しきって頑張ってください。
薬局に実習に来ていただいた学生さん達も無事に合格する事をお祈りしています。
頑張れ~!!
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