エビスタやビビアントSERM製剤で禁忌とされる長期不動状態とは?

薬の勉強
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SERM製剤とは?

エビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)やビビアント(バゼドキシフェン酢酸塩)は、SERM(サーム・Selective Estrogen Receptor Modulator:選択的エストロゲン受容体モジュレーター)に分類され閉経後骨粗しょう症に適応があるお薬になります。

SERM(サーム)は、エストロゲン受容体に働く女性ホルモンと似た働きをする事で、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下による、骨代謝のバランスを整えます。

女性ホルモンとの違いは、骨以外の組織(乳房組織・子宮内膜)にはアンタゴニストとして働き、(骨・脂質代謝)だけに組織特異的アゴニストとして作用します。

ビスホスホネートと異なり石灰化を介する事なく骨強度を増加します。

SERMの禁忌事項は?

まず以下のエビスタの禁忌事項を見てみたいと思います。

2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症のある患者又はその既往歴のある患
者[これらの症状が増悪することがある。][8.1、11.1.1 参照]
2.2 長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者[8.2 参照]
2.3 抗リン脂質抗体症候群の患者[静脈血栓塞栓症を起こしやすいとの報告がある。]
2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6 参照]
2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

そして、ビビアントの添付文書でも「長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者」は禁忌として記載があります。

長期不動状態が禁忌である理由として、静脈血栓塞栓症:VTE(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む)のリスクが上昇する為とされています。

寝たきり等の不動状態の持続により静脈血流にうっ滞が起こり、治療の有無に関わらず静脈血栓塞栓症のリスクが高まります。

そこでエビスタでは、長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)に入る3日前には服用中止して、完全に歩行可能になるまでは投与を再開しない事としています。

3日前というのは、血栓症のリスクが高くなる前に血中濃度を低下させるためにエビスタの半減期24.3時間と米国添付文書の記載から設定されました。(ただし血中濃度と静脈血栓塞栓症の発現に薬力学的な関連は認められていない)

完全に歩行可能という事は、寝たきり状態だけでなく車椅子での状態もSERMは中止していたほうが良いと判断されるかと思われます。

長期不動状態とは?

エビスタの製品Q&Aでは、長期不動状態について「明確な定義はない」としていましたが、下肢の静脈血流のうっ滞が日常的に認められる患者では投与を避けるように記載がありました。

不動状態に該当する具体例としては以下の記載

  • 下肢の筋肉を使っておらず、筋肉のポンプ作用がない状態
  • 機械的(ギブス、添え木など)に下肢の静脈が局所的に圧迫されている状態
  • 術後回復期や長期安静期などの寝たきりの患者
  • ほとんど歩行できない、歩行していない患者
  • ADL(日常生活動作)が極端に低下している患者(トイレに行くとき以外はずっと寝ている、など)
  • 車椅子生活の患者

また、ビビアントのインタビューフォームでは、海外第Ⅲ相臨床試験におけるビビアント錠20mg~40mg投与群でのVTE発現症例一覧の記載がありました。

そこで危険因子として特定された長期不動状態と考えられるものとして、シアトルからメキシコまでの長距離移動、長距離旅行で不動状態があります。

距離感がよくわからなかったのですが、調べたところシアトルからメキシコへは、飛行機で約5時間40分かかるそうです。

日本人に人気のあるハワイだと、それ以上の飛行時間がかかる事がありますのでロングフライトには十分な注意が必要ですね。

また膝関節鏡視下手術、全人工股関節置換術、頸動脈造影により大腿静脈が外傷/圧迫された、虫垂切除、長期入院(脳神経膠腫)による不動状態のため神経症状の悪化、ペースメーカー埋め込み時の合併症、下肢静脈不全の既往なども危険因子として特定されています。

よって、よく言われる(エコノミークラス症候群)での注意事項と同様に、SERM投与中の女性が長時間の航空機等で旅行をする際には、必ず適度な水分摂取やこまめな運動等を心がける必要があります。

エビスタはジェネリックでラロキシフェンも処方されることが多くなっています、服薬指導でも忘れずにお伝えしたいと思います。

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