調剤薬局で働いていると「これってグレーゾーンじゃないの?」と疑問に思いながら働くことが多々あると思います。今回はそういった疑問点を解き明かしスッキリした気持ちで勤務できる様に、複雑に入り組んだ調剤薬局業務に鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明したいと思います。
ちなみにグレーゾーンという言葉は、日本語の「白黒はっきりさせる」など古くからある慣用句を元に作られた和製英語だそうです。調剤薬局で存在するグレーゾーンには明らかに黒色の場合もあるし、法の未整備や解釈によってグレーの場合もあります。すぐさま違法行為を内部告発したり転職を考える前に一息つきましょう。
都道府県によっては地域の薬剤師会では認められているグレーゾーンの場合もあり、転職先の薬局もやっている可能性が高いからです。たとえ紹介業者のエージェントに「違法脱法行為をしていない薬局を希望します」と伝えても、チェーン薬局の場合だと各店舗の詳細まで把握しきれてない事も考えられます。この店舗は守られてるけど、こっちの店舗は守られてない、という事は十分にありえます。
結局グレーゾーンについては、その時にその店舗に実際に勤務してる人間しかわかりえない情報なのです。実際に店舗で働き出してからでなければ、まずわからないと思って間違いありません。
薬剤師1人につき処方箋1日40枚の基準
「薬剤師1人につき処方箋は40枚まで処理できる」この基準はどこに書かれてあるのでしょうか?薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令に記載があります。
第1条1項には1号~12号までありますが、1号には
これは薬剤師不在時間に関する内容になります。
「常時」薬局に薬剤師がいないといけないので、厳密にはお昼ご飯を食べに行くので1時間薬剤師が不在する場合なんかは閉局する必要があるようです。一人薬剤師でお昼ご飯の時に、薬剤師不在の看板を立てて買い物に行く位は許されても良いような気がします。しかし「常時」ですので、厳密にはダメだという事になりますのでご注意下さい。
緊急時の在宅対応や急遽日程の決まった退院時カンファレンスの参加で薬剤師が不在になる時間は、届出をして然るべき対応をすれば閉局せず営業が出来ます。これについてはまたの機会にしたいと思います。
2号には40枚に関する記載がありました。
当該薬局において、調剤に従事する薬剤師の員数が当該薬局における一日平均取扱処方箋数(前年における「総取扱処方箋数(前年において取り扱つた眼科、耳鼻咽喉科及び歯科の処方箋の数にそれぞれ三分の二を乗じた数とその他の診療科の処方箋の数との合計数をいう。)を前年において業務を行つた日数で除して得た数とする。
ただし、前年において業務を行つた期間がないか、又は三箇月未満である場合においては、推定によるものとする。)を四十で除して得た数(その数が一に満たないときは一とし、その数に一に満たない端数が生じたときは、その端数は一とする。)以上であること。
薬剤師の人数は下記の式以上の人数配置が必要になります。
この計算式以上の薬剤師を配置しなさいという内容です。
私の勤務していた以前の薬局門前だと、整形外科と耳鼻科、眼科(耳鼻科と眼科は×2/3と数える)なので、受け付けた実際の処方箋枚数よりは少なくなります。さらに土曜日は午前診にあわせた半日営業なのですが、この計算式では営業日数の1日に入ります。
この時の心境は「100枚以上投薬してる日もあるけど、均すと40枚以下かもなぁ」と思ったのと、日常の疲労で勤務終わりはすぐに帰宅して寝たかったので、実際には一度も正確に計算した事はありませんでした。
休みの日や仕事が終わってから、前年の各科目の枚数や日数を計算したりする元気が、その頃の私には残っていませんでした。疲労困憊させて労働者の思考能力を奪い、資本化が搾取する構図は太古の昔からありますが、その時の私はまさにその状態にあったのかもしれません。
さらに薬局によっては40枚/日を超えないように実際は勤務していない薬剤師の名前が登録されている事があります。よって計算して40枚超えていることが発覚しても、本当によく考えてから行動しましょう。
罠があるのを発見して告発したとしても、告発側も無駄な時間とエネルギーを相当消費する事になります。薬剤師の増員を願い出ても一向に増員される気配がなければ禍根を残さないためにも、その時は何も言わず転職する準備を始めましょう。