レスタミンコーワクリームとオイラックスクリームの違いは?

薬の勉強
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患者さんが「背中が痒いけど、先生が出すステロイド薬が効かないので困っている」との訴えがありました。

かゆみの原因が皮膚にある場合、乾燥している状態をしっかりと保湿継続するだけでも改善が見られる場合があります。

この時に我慢できずに、痒いからと掻きすぎると角質に傷がつき炎症が起きてかゆみが悪化してしまいます。

医師の処方した皮膚の状態に適したステロイド薬で皮膚の炎症状態が収まるまでしっかりと続けて角質のバリア機能が回復するまで本来は継続し、少しづつ薬を減らして保湿をしっかりとする事で痒みも減ってくるとは思うのですが、「すぐに痒みを抑える為の薬がどうしても欲しい」とのことでした。

こちらで勝手に薬を提案する事ができないので、患者さんには先生に状態を診てもらって処方箋を待つことになりました。薬局に置いている薬として痒みに対して処方されるであろう薬として、内服では抗ヒスタミン薬、塗り薬ではステロイド以外ではレスタミンクリームやオイラックスクリームがあります。

アトピー性皮膚炎に用いられる免疫抑制剤のプロトピック軟膏(タクロリムス水和物)もかゆみを抑える時に使用される事があります。

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レスタミンクリームとオイラックスクリームの違いは?

レスタミンコーワクリームとオイラックスクリームですが2つのクリームの違いを比較してみたいと思います。

まずレスタミンコーワクリームは成分名がジフェンヒドラミンと呼ばれる第一世代の抗ヒスタミンH1受容体拮抗薬になります。

特徴として止痒作用が強く、じん麻疹、湿疹、※小児ストロフルス、皮膚そう痒症、虫さされに適応があります。

小児ストロフルスは、虫の唾液成分等に対する免疫反応が未熟な乳幼児期の虫刺され後に、過敏反応が原因となって生じるかゆみの強い漿液性丘疹が主な症状。

レスタミンコーワクリーム

出典:興和創薬株式会社

オイラックスクリームは成分がクロタミトンと呼ばれる物質です。インタビューフォームから開発の経緯を見たところ、スイスのガイギー社(現ノバルティス ファーマ社)により合成され1948年にスペインで初めて発売されました。

オイラックスは、湿疹、蕁麻疹、神経皮膚炎、皮膚そう痒症、小児ストロフルスに適応があります。

オイラックスクリーム

オイラックスHには、ヒドロコルチゾン2.5mg/g含まれるので、適応は湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、小児ストロフルス、虫さされ、乾癬となります。

クロタミトンの薬効薬理を見ると抗ヒスタミン作用を示さないと書いています。ヒトの皮膚感覚のうち掻痒感を抑制するが、他の皮膚感覚には影響を与えないことなどから、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤とは作用機序を異にすると考えられています。

皮膚に軽い灼熱感を与え、温覚に対するこの刺激が競合的にそう痒感を消失させるといわれてるので、蚊にかまれた時に爪で十字に押し付ける事で痒みを紛らわす方法と同じような感じでしょうか?(ちなみに東日本では蚊にかまれると言わず、くわれるが多いそうです)

オイラックスHクリームの添付文書の薬効薬理より、クロタミトン単体との比較がされています。クロタミトンのみでは抗炎症作用がほとんどなく、鎮痒作用もステロイドを含有したオイラックスHクリームより弱い事がわかります。

1)抗炎症作用
ウサギの脱毛した皮膚にクロトン油皮膚炎を起こさせ、これに1日2回オイラックスHクリーム又はオイラックスクリーム10%を13日間連日貼付した実験で、オイラックスHクリーム貼付群で発赤は7日目、糜爛は10日目、痂皮は12日目に消失し、無処置群に比べて明らかな差がみられたが、オイラックスクリーム10%では特別な差はみられていない。

2)鎮痒作用
軽症皮膚疾患患者の両前膊屈側中央に1,000倍塩酸ヒスタミン液を滴下し、注射針で軽く皮膚を穿刺しそう痒を起こさせた後、オイラックスHクリーム又は比較薬剤を塗布し、止痒に要する平均時間比を求めた試験で、オイラックスHクリームは1%ヒドロコルチゾン、オイラックスクリーム10%より大なる鎮痒作用が認められている

3)ヒスタミン発斑に対する抑制効果
軽症皮膚疾患患者の前膊屈側にオイラックスHクリーム又は比較薬剤を塗布後、それぞれの局所において、1,000倍塩酸ヒスタミン液による発斑試験を行った結果、オイラックスHクリームは1%ヒドロコルチゾンに比しかなり強く膨疹、紅斑を抑制することが認められている。

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