ブドウ糖は低血糖の症状によって摂取する量を変えたほうがいい?

役に立つ話
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患者さんより「低血糖が起きたときにブドウ糖は何グラム摂取すればいいの?、低血糖の症状によって摂取する量を変えたほうがいいのかな?」と聞かれました。

この患者さんにいつも薬局で渡しているブドウ糖は、1包に2錠(5g)が入ったものを渡していました。

低血糖の初期症状は空腹感やだるさ、脱力感ですが、通常だとブドウ糖10g~20g程度とお伝えしていました。

しかし痙攣や意識レベルが低下している状態でもこの量で良いのでしょうか?

通常は最初に服用した用量で30分程休憩して、それでも回復しない場合に同じ用量を服用するように伝えていました。

しかし低血糖症状の程度(血糖値の下がり具合)で出現する症状を理解していれば、初めからそれに伴ったブドウ糖の量を摂取する方が良い様な気もします。

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低血糖に伴う症状にはどんなものがあるのか?

血糖値が70mg/dlを下回ってくると空腹感、だるさ、脱力感など
血糖値が60mg/dlを下回ってくると発汗、不安、手指のふるえ、動悸、不整脈など
血糖値が50mg/dlを下回ってくると頭痛、目のかすみ、眠気など
血糖値が30mg/dlを下回ってくると意識レベルの低下、異常行動、痙攣、昏睡など

参考文献:公益社団法人日本糖尿病協会検証済(糖尿病ハンドブックより)

しかし人により症状の出現は異なるために、必ずとも血糖値の下がり具合に伴う症状が出現するとは言えません。

そして低血糖を繰り返している患者さんは、軽度の低血糖では自覚症状を感じにくくなる傾向があり「無自覚性低血糖」と呼ばれています。

また服用したブドウ糖でどの程度の血糖上昇が見込めるかは、人により服用している薬剤の種類やホルモンの分泌能力により差があるため一概にわかりません。

ブドウ糖を摂取する必要がある薬剤は?

αグルコシダーゼ阻害薬(αGI)は二糖類分解酵素の作用を阻害する事で、単糖類に分解する事を抑制します。

よって砂糖(スクロース)は(グルコース+フルクトース)に分解されにくくなるので低血糖の時に服用しても回復が遅くなるので必ずブドウ糖を摂取するようにしましょう。

服用方法は食直前に服用します、これは小腸で糖質と一緒に存在する事で作用(競合阻害)するためです。

しかし服用を忘れた場合は食事を開始してから15分後くらいまで血糖値の上昇抑制効果は期待できるので、食事中でも服用して大丈夫とされています。

製品名はセイブル(ミグリトール)、ベイスン(ボグリボース)、グルコバイ(アカルボース)などがあります。

薬局で無料配っているブドウ糖はこれらのαGIを服用している患者さんに対して準備をしている事が多いので、ご自身でわざわざ購入している人は一度薬局でお尋ねください。

血糖値スパイクとは?

さらに最近、急激な血糖値の上昇は血糖値スパイク(血糖値が140mg/dl以上)といい、食後1~2時間の急激な血糖値の上昇が動脈硬化を引き起こす原因になると言われています。

血管の内壁の細胞を糖分の多い液と少ない液にかわるがわる浸し、血糖値の急上昇が繰り返されているような状態にしたところ、細胞から大量の「活性酸素」が発生することが判明。

活性酸素は、細胞を傷つける有害物質です。“血糖値スパイク”の状態を2週間続けると、細胞のおよそ4割が死んでしまいました。実はこれが動脈硬化につながる原因。

血管の壁が傷つくと、それを修復しようと集まった免疫細胞が、傷ついた血管壁の内側に入り込んで壁を厚くし、血管の内側を狭めていきます。

それが「動脈硬化」です。“血糖値スパイク”が繰り返し起きている人は、血管のあちらこちらで少しずつ動脈硬化が進行し、やがて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクが高まると考えられます。

NHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」サイトより引用

低血糖時の基本の対処方法を覚えておこう!

低血糖を感じたらすぐに対処する

まず安静にしてブドウ糖を10~20g摂取する。

症状が続く場合は、もう一度同じ量のブドウ糖10~20gを摂取する。

※低血糖により意識レベルが低下したときは必ず医療機関で治療を受ける事

※口から摂取ができないような重症の場合は、ブドウ糖や砂糖を口唇と歯肉の間に塗り付けてもらう

※また右側を下にして横になると胃から腸への流れがスムーズになります(糖は小腸の上皮細胞から吸収される)、ブドウ糖を水分と一緒に摂取すると腸に早く到達します。

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