【PL】と【幼児用PL】の違い
まずPL配合顆粒の添付文書には…
「通常、成人には 1 回1gを、1日4回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」とあります。
年齢、症状により適宜増減する…
ですので、実際には3g分3 毎食後の処方をよく見ますね。
そして、成人とあるので基本的には、15歳から使用できます。
薬の服用量を考える場合、成人は原則15歳以上指します。
よって成人である15歳以上は、PLを 1 回1gを、1日4回経口投与します。
それ以下の年齢であれば、医師の判断で適宜増減の対象になります。
しかし…
2 歳以上の幼児、小児に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[小児等に対する安全性は確立していない。]と、添付文書に記載があるので医師の判断による処方となります。
治療上の有益性…
よって、これらの臓器が成人と同等の機能を持つと考えられている年齢の目安が15歳です。
【幼児用PL】は幼児用でない!?
次に幼児用PL配合顆粒ですが、幼児用と銘打っているので幼児用だと思われがちですが、いったい何歳を対象にしているのでしょうか?
- 乳児は、1歳未満
- 幼児は、1歳以上 7歳未満
- 小児は、7歳以上 15歳未満
通常幼児とは、1歳以上7歳未満を指します。
つまり…
幼児用PL配合顆粒は、幼児用と言いながらも小児も一部含み、用法用量は2歳以上~11歳までの区分に分けられているのです。
添付文書には2歳未満の乳幼児には致死的な呼吸抑制が起こった報告があることから投与しないこととなっています。
幼児でも1歳はダメ!
実際は2歳以上からの使用
7歳を超えた小児年齢であっても、11歳までは幼児用を使用する方がよさそうです。
では、小児12歳からはどちらを飲むべきなのでしょうか?
【PL】と【幼児用PL】の薬効薬理と効能効果は同じ?
【薬効薬理】同じ
1.体温下降作用
2.鎮痛作用
3.解熱鎮痛作用
解熱鎮痛剤であるサリチルアミド(サリチル酸系)とアセトアミノフェン(アミノフェノール系)は,体温調節中枢に作用して皮膚血管を拡張し,熱の放散を盛んにして解熱効果を,また末梢性の鎮痛効果を示す。マウス,ラットを用いた試験で,両者の配合により,鎮痛作用は増強された。4.鎮痛作用の増強
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は,フェノチアジン系の抗ヒスタミン剤で抗ヒスタミン作用を有するとともに,マウスを用いた試験で,サリチルアミド,アセトアミノフェンの鎮痛作用を増強した。5.カフェインの中枢神経興奮作用
精神機能を活発にし,不快感を除去する。また鎮痛作用を増強する。【効能効果】同じ
感冒若しくは上気道炎に伴う下記症状の改善及び緩和鼻汁,鼻閉,咽・喉頭痛,頭痛,関節痛,筋肉痛,発熱
用法用量は異なるので比べてみました
PL 配合顆粒【用法用量】
通常、成人には1回1gを1日4回経口投与します。年齢、症状により適宜増減する。
成分・含量(1g中)
- サリチルアミド 270mg
- アセトアミノフェン 150mg
- 無水カフェイン 60mg
- プロメタジン 13.5mg
幼児用 PL 配合顆粒【用法・用量】
通常、次の区分による。(サリチルアミド・アセトアミノフェン・カフェイン・プロメタジン)
2~4 歳 1回 1g(1 包)1日4回 45mg・25mg・10mg・2.25mg
5~8 歳 1回 2g(2 包)1日4回 90mg・50mg・20mg・4.5mg
9~11歳1回 3g(3 包)1日4回 135mg・75mg・30mg・6.75mg
その他、症状により適宜増減する。
PLは「年齢と症状による適宜増減」の記載があるのに対して、幼児用は「症状による適宜増減」しかついていないので、12歳からはPLを使用するのがベターなのでしょうか?
念のために塩野義製薬株式会社の医薬情報センターに電話して
「12歳からはどちらを使用するほうが良いんですか?」
と確認してみたところ、予想通り…
「医師の判断によります」
との回答でした。
組成:成分は同じだが、「含有量・添加物・性状」は違う
PL 配合顆粒
1. 組成
成分・含量(1g 中)
- サリチルアミド 270mg
- アセトアミノフェン 150mg
- 無水カフェイン 60mg
- プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 13.5mg
添加物
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、塩化ナトリウム、白糖、含水二酸化ケイ素
2. 性状
性状・剤形 白色の顆粒で、味はやや甘く、わずかに苦味がある。
幼児用 PL 配合顆粒
1. 組成
成分・含量(1g 中)(PLの1/6の用量)
- サリチルアミド 45mg
- アセトアミノフェン 25mg
- 無水カフェイン 10mg
- プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 2.25mg
添加物
含水二酸化ケイ素、白糖、メチルセルロース、黄色 5 号
2. 性状
性状・剤形 うすいだいだい色の顆粒で、味は甘く、わずかに苦味がある。
自己判断での服用は、副作用被害救済制度の対象外!
PLやPA、サラザックの様な総合感冒薬は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品です。
薬局によっては小売(零売)している所が見られますが、通常は薬局において処方箋に基づく薬剤の交付が原則となっています。
このような総合感冒薬や貼り薬でよく見られるのが、残っていた薬剤を自己判断で服用したり、家族や友人に譲り渡すといったパターンです。
【事 例】
感冒症状等を認めたため,約7ヶ月前に医師から処方されたサラザック配合顆粒の残薬を自己判断で服用し、多形紅斑型薬疹を生じたが、不支給となった。
医薬品・医療機器等安全性情報より引用
このような場合は副作用被害救済制度の対象となりません。
よって、患者さんから
「残っている風邪薬を服用していいですか?」
と聞かれた場合は
「前回の風邪と症状が異なる可能性があるので、再度受診してください」
と伝えたほうが良いでしょう。
参考:塩野義製薬HP
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